羊と鋼の森

3.92
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本棚登録 : 7604
レビュー : 1258
著者 :
vilureefさん 宮下奈都   読み終わった 

じんわりとあったかくて優しくて、この物語の森の中から抜け出てしまうのが哀しい。ずっと羊と鋼の森の中にいたいのに、いられない辛さ。
ぽつりぽつりとしか宮下奈都さんの作品は読んでいないけれど間違いなく一番好き。
淡々とした静けさに一本の光がやわらかく差しているような感覚がたまらなかった。

物語は一人の少年がピアノ調律師の世界に魅せられるところから始まり、一人前の調律師へ一歩一歩近づいていく様が描かれている。
彼の夢を目指すひたむきさ純朴さに胸を打たれ彼を励まし続ける周囲の人々に癒され、大きな展開はないもの物語の森へすっかり迷い込んでしまった。

才能とは何なのか、努力とは何なのか。
ここで描かれるのはピアノ調律師ではあるけれど、夢に向かって頑張っている人、頑張りつつも迷いがある人、そんな人が読んだら絶対に励みになると思う。

調律師が主人公の小説は前にも読んだけれど、今回ほど調律師の世界に魅了されてしまうことはなかった。この物語は脇役であるピアノ調律師の奥深い世界を余すことなく描いていて自分自身がピアノの世界を知らないことに歯がゆくなった。

物語そのものももちろん、タイトル『羊と鋼の森』、それから装丁もすばらしい。全てが一体となって宮下さんの新しい世界を作り出している。
タイトル初見で、「何、このタイトル?」と思った自分が恥ずかしい。

レビュー投稿日
2015年10月9日
読了日
2015年10月8日
本棚登録日
2015年10月9日
29
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『羊と鋼の森』のレビューへのコメント

koshoujiさん (2016年4月14日)

ご無沙汰しております。<(_ _)>
この本、最高でしたね。最近読んだ本ではベスト。何度も涙が零れました。
宮下さんの最高傑作と思っていましたが、何故か直木賞は落選。
しかし、その代わりに昨日「本屋大賞」を獲得。
いつも優しく温かい筆致の宮下さんの作品が
これをきっかけに脚光を浴びることを願っています。

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