わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)

3.72
  • (82)
  • (151)
  • (147)
  • (14)
  • (7)
本棚登録 : 1167
レビュー : 147
制作 : Kazuo Ishiguro  入江 真佐子 
violinprinceさん  未設定  読み終わった 

カズオ・イシグロの、何というか静謐を湛えたような独特の文体が好きで、これまで『日の名残り』や『私を離さないで』、『忘れられた巨人』を読んできた。久しぶりに彼の手による著作を手にしたわけだが、その語り口は独特で、物語は時に淡々と、時に波に揺られるように、あるいは時に劇的に進められていく。

上海で生まれ育ち、しかし幼くして両親と生き別れ、イギリスにいる伯母へ引き取られ、長じて探偵業を営んでいる男が主人公。タイトルにあるように、この主人公の境遇である“孤児”がテーマだと思うんだけど、「これがそうです」といったような感想は持ち得ない。しかし、読書中は常に読み進められずにはいない感覚で(このあたりは村上春樹と共通したものがある)、500ページ強の長さも気にならなかった。読後は、ほのかに暖かい気持ちと、少しの喪失感を味わう、そんな小説だ。

レビュー投稿日
2019年5月12日
読了日
2019年5月12日
本棚登録日
2019年5月12日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワe...』のレビューをもっとみる

いいね!してくれた人

ツイートする