恋に溺れ、酒に溺れ、その酒に体を蝕まれ、43歳でこの世を去った若山牧水。この著作はそんな牧水の恋に焦点を当て、彼の創った短歌とともに、手紙や研究書から、その喜びと苦悩をひも解いていく。
まぁ、こんな人近くにいたらひくな、といったタイプの人です。恋は盲目、みたいな感じを文字通り突っ走ったわけで、このような生き方はうらやましいと思う反面、多くの人は「ここまでは無理」と感じるのではないでしょうか。
しかしながらですね、そうしたある意味直情的であり、彼が恋した小枝子という女性に病的にどっぷりはまってしまったからこそ、多くの短歌の傑作が生まれたといえるのでしょうね。例えば作曲家のモーツァルト、社会規範にとらわれず性格的に破綻していた彼だからこそ、この世のものとは思えない極上の音楽を生めたように。
短歌に触れたのは、正直中学高校の国語の授業以来で、こうした作者の実生活、実像とともに作品を眺めると、やはり味わい深いというか、面白いというか、牧水の場合共感とまでいかないまでも、その胸のうちがよりこちらに迫ってきました。特に後半期、小枝子との恋にやぶれてからの歌の方が、なんだか普遍性みたいなものを感じて、じわっとくる感じが強くありました。
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- 感想投稿日 : 2019年3月17日
- 読了日 : 2019年3月17日
- 本棚登録日 : 2019年3月17日
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