企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

著者 :
  • 角川アスキー総合研究所 (2013年2月14日発売)
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『アップル帝国の正体』というなんだかアンパンマンに出てきそうなタイトルですが、その実態は一度取引すると骨の髄まで吸い取られそうな関係が続くというお話の本を読みました。同じ”帝国”つながりで本書を選んで読んでみたらやっぱり同様の内容。ただし、本書の著者はかつてアップルで働いていて、そこからこのような大企業のやり方を学んだ上で、今後の世界の流れを読み、搾取されないようにするには我々自身も学び、回避する能力をつけなければならないというところまで話を広げています。

アップル、マクド、エクソンモービルなど、名だたる大企業で金でなんでも解決していそうな企業の考えていることは「仕組みを作って、従わせる」ということで共通していると説き、日本もやがて巨大企業が誕生して、いまアップルで起こっていることが押し寄せてくるだろうというくだりは、まるで映画「Back to the future」の、スポーツ年鑑で大稼ぎしたビルが世界を牛耳っているシーンを思い出しました(例えが古いか?)

アップルの上級社員の給料を時給に直すと4000ドル以上、かたや、iPod組立工場の従業員は2ドルに満たないという現実をどう思うでしょうか?

これらの巨大企業は政権よりも資金力を持ち、影響を与えています。たとえばOー157で子どもを亡くしたアメリカ人の母親は食品衛生の向上を促す法案を作ってもらう運動を起こし、実際に法案ができます。しかし、大手食品メーカーのよこやりにより成立はされませんでした。アメリカでのこの感染者は交通事故死亡者よりも多いといわれ、原因は糞尿まみれの環境に長くて半年以上も飼育されている肉牛飼育施設だそうで、大雨などで糞尿が流れ出し、畑に流れ込んで悪さをするのだとか。日本では考えられない環境はもちろん、それを止めさせる法律が辞めさせられるという状況。

食品安全基準が厳しい日本も、TPPに参加するとこの基準はおそらく海外では満たせないため、低いレベルに合わせざるを得なくなるなど、”帝国”の都合のいいようになっていくと言われていますが、とにかく日本人はもっと勉強しないと危ないよーと警鐘を鳴らしています。

偶然ではありますが、今まで紹介したことのある『食の終焉』『ファストフードが世界を食いつくす』『アップル帝国の正体』などで出てくる恐ろしい話をまとめて本書で知ることができます。まさに帝国、やりたい放題だ・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会問題
感想投稿日 : 2013年10月19日
読了日 : 2013年10月19日
本棚登録日 : 2013年10月19日

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