2024.1.23 読了 ☆9.2/10.0
物語の舞台は、異国情緒漂う港町にあるレトロな雰囲気のレストラン「キッチン風見鶏」。
そこでウェイターとして働きながら、漫画家としてのデビューを目指す24歳の坂田翔平が主人公。
そしてそこのオーナーシェフの絵里さん、32歳。
主な他の登場人物には、絵里さんのことが好きなお客さんの手島さんと彼の亡き妹夫婦の子どもで養子の歩。
占い師で、やはりお客の寿々。
絵里さんのお母さんで、癌で延命治療を止めて余命の短い祐子さん。
そしてユニークなのが、絵里さんは人を観察し、プロファイルする達人。
そして、翔平と寿々の二人は、なんと人の守護霊が見えるという特殊能力がありました…。
キッチン風見鶏で繰り広げられるハートフルな人情溢れるお話だと思ったら、その要素満載プラス守護霊が見える登場人物が活躍するのという何ともユニークな内容で、それが物語にすごくいい味と深みをもたらしてくれています。
絵里さんと手島さん、翔平と寿々の恋の行方もよかったです。
そして、漫画家を目指していた翔平の夢を叶えたのは、歩だったことが終盤で明かされるのですが、その展開が嬉しくもあり以外でもあり、すごくグッときます。
時を経て歩は、翔平を師匠と呼ぶほど漫画を描くことに傾倒しており、翔平が応募して落選した漫画の原案にさらに磨きをかけたのです。そして、アレンジを加えて応募した結果……プロローグのあの場面に繋がるのです。本書のダブルの味わいに心躍りました。
文太さんと勉さんの、“キッチン風見鶏”に込めた想い(P336〜)と、そこで働く上記の人たちに受け継がれた想いの
結晶。時代を超えたつながりと、血のつながりを超えた愛情溢れる家族のカタチ。
そんな、2つのつながりに胸打たれました。
〜〜〜〜〜心に響いた言葉〜〜〜〜〜
“自分の人生は、自分が創る”
“人生に『正解』なんてないんだよ。自分で選んだ道を自分の努力で『正解』にするだけ”
“人生に行き詰まったら、まず環境を変えてみる”
“命がここに、在る。それだけですでに尊い。
あなたがそこに、居る。それだけで、わたしは幸せ”
“自分の心に嘘をつかずに人生を創っていくこと”
“人生はあっという間。自分の好きなこととか、良かれと思うこと以外のことなんてやっている暇はない”
“人が生きていれば、辛いことや悲しいことなんていくらでも起こる。でも、そういう出来事の裏側をよく見てみると、必ずどこかに素敵なプレゼントが隠されていることに気づくものだ”
“人生にマイナスと思われる出来事が降りかかって来たなら、心のなかで「だからこそ」という魔法の言葉を発してみること。
そうすれば、自然とその先の未来がプラスに開けてくるからね”
“同じ出来事を経験したとしても、それをどう捉えるかという見方ひとつで人生は如何様にも変えられるというわけだ。
マイナスをころりとプラスに変えてくれる「だからこそ」という魔法の言葉”
- 感想投稿日 : 2024年1月24日
- 読了日 : 2024年1月23日
- 本棚登録日 : 2024年1月24日
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