高野聖 (角川文庫)

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本棚登録 : 360
レビュー : 21
著者 :
miuさん 私の書棚   読み終わった 

全体に歯切れ良くリズミカルな文章。擬音語の差し込み方が印象的で好き。最後までぐいぐい読まされてしまう。

初めの収録作品は、まず怒涛のように押し寄せる見慣れない漢字や古い文法に面食らったけれど、分かり易い展開と心情描写のお陰で、慣れてしまえばすいすい読めた。高野聖、眉かくしの霊になると、大仰な表現は鳴りをひそめ、華美な装飾を削ぐことでさらにリズムの良さ、品の良さが際立っている。美しい情景描写を堪能し、楽しい読書時間を過ごせた。
以下ネタバレ含む、各話感想。

義血俠血
勢いの良い若々しい文章。義理人情が主題のためか、熱っぽくドラマチックな展開が続き、まるで舞台を観ているよう。
特に多く割かれた前半の競争シーンや、白糸の殺人を犯す場面は圧巻の臨場感!

夜行巡査
抑揚がなくやや退屈。伯父と八田の極端ぶりには心底驚き。最後に皮肉っている辺り、揶揄の対象を考えさせられる。
時代を考えると社会派な一面もある作品?色々な読み解き方がありそう。

外科室
まさに病院の中のような白っぽい文章。
道ならぬ恋、ひた隠していた想いが情熱を育み、それを解き放つとき。
非常に奥ゆかしい恋だと感じつつも、夫人はなんと剛毅な人かと。読んでいて血の気が引いた。

高野聖
ぐんと文が洗練されている。これまでの小話よりも話の奥行きも増したように思う。
色っぽい場面があるけれども、艶かしさよりも、妖しさや神秘性が際立つ。
蛭の森や水辺の描き方など、異形の世界のようでありながら、神話的な荘厳さも感じる。
読解力不足で大事なところを見逃したみたい。「高野聖」に呼び名を変えたところを気付かなかった。
忘れた頃に再読しよう。

眉隠しの霊
これもまた舞台にできそうな美しさ。
お化けものながら、こちらもやっぱり高貴な雰囲気漂う。
残念ながら物語それ自体については、理解が及ばなかったのか、良さがわからなかった。
自分の旦那を救うのに、旦那の情婦に協力してもらう…?当時では不思議でなかったの?あとがきでもなんじゃそりゃ扱いされてたので、なんとも。。
しかし綺麗だった。幽霊の登場シーン。

レビュー投稿日
2019年1月27日
読了日
2019年1月23日
本棚登録日
2019年1月16日
7
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