再読。
文庫版でそろえているのに、なぜかカッパノベルスのような気がしてしまう。たぶんキラキラしいカバーイラストの影響(偏見)。
群雄割拠の時代の中国をモデルにしたファンタジー風味架空戦記。冒頭の「序」に後世の学説を紹介するような記述を置いて、それを演じるかのようにドラマを描いていくのが各巻共通のスタイル。「序」でネタバレしているとも言えるけど、大事なのはネタそのものではなくてドラマだから問題はないと思ってる。
そんなわけで著者の書くドラマが好きだなあと再認識。派手さやはったりのない筆致と展開は、かわりに真摯な情熱と素直さを感じさせて、すんなり読ませてくれる。文章も平易だし、特に和語はひらがなで書かれていることが多いせいか、全体的にやわらかく親しみやすい印象。それでもってドラマを織りなす人々、その心の動きが効果的に描き出されているところが魅力だと思う。あらためて読むと、見る者に繊弱な印象を与えるとされる淑夜の我の強さなんかは1巻から光ってた。どん底から這い上がるところから始まるだけに、淑夜ひとりに注目するのみでもすごいドラマ。身体的なハンデといい、助けた羅旋といい、すごいことするなあ。淑夜を他人に頼らざるを得ない状況にさせることで、無影を照らす意味合いもあっただろうか。
1章冒頭の、淑夜が星の名を挙げるシーンが好き。星を絡めた描写が何かと印象的なシリーズでもあるかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年4月15日
- 読了日 : 2020年4月12日
- 本棚登録日 : 2020年4月15日
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