『オーリエラントの魔道師たち』で初登場のリクエンシス。文庫版に姿が見えないと思ったら、彼が主人公のお話は独立した短編集に。とても活き活きとして面白いお話だったから嬉しい。
「紐結びの魔道師」「冬の孤島」「形見」「水分け」「子孫」「魔道師の憂鬱」を収録。
美しいカバーイラストもいつものことながら嬉しい。タイトルから紐が伸びているのに思わずにやり。
6つの物語はそれぞれ別の時代が舞台。表題作から見ると、過去はまだしも未来の遠大なことに一瞬鳩尾が冷える気分を味わった。「冬の孤島」から「形見」への落差は怖いほど。何がどうしてそうなったのか、気になって進んで魔法にかかりにいく自分を止めようがない。これはずるい。
広大な世界に属する一部でありつつ、同時に確固としたひとつの命であること。その尊さと幸福を抱きしめられる、今回もとてもいいお話だった。ニーナとのパドゥキアでの暮らしは、きっと幸せなものになるに違いない。ケルシュの再登場も、シリーズ読者には必見。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年12月31日
- 読了日 : 2016年12月31日
- 本棚登録日 : 2016年12月31日
みんなの感想をみる