西洋文学にみる異類婚姻譚

  • 小鳥遊書房 (2020年10月26日発売)
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感想 : 3
5

異類婚姻譚がテーマとくれば気にならないわけがなかった。初めましての小鳥遊書房。社名のロゴが手書き文字。
メデイア、メリュジーヌ、水の精、『エイシスとガラテア』、『美女と野獣』、『カーミラ』、「狼男」、クトゥルフ神話、犬娘婚の全9章。
犬娘婚の章で、『夕鶴』の作者が「木下恵介」と記載されていて5度見くらいした。『種の起源』の原題のミスも惜しい。

異類婚姻譚に属する伝説・物語作品群を扱う論考集。異類婚姻譚というカテゴリ、その興隆と衰退、復活の流れを冒頭に据えて、各章で作品の特徴や成立の時代背景などを詳しく絡めて読み解いていく。各章はさほど多くもない頁数ながら、内容はとても充実していて面白かった。ちょっとすごい読み応え。
積極的に異類婚姻譚として読み解く、という取り組み自体が何より魅力的。のっけからメデイアで衝撃を受けた。ヘリオスの孫娘とは了解していながら、コルキス出奔からイアソンに裏切られて子を殺害して姿を消す、というお話が異類婚姻譚という発想は、私にはたぶんまったくなかった。言われてみれば確かに。悲劇として実際に演じられた時の演出やその効果まで興味深い。ちなみにエウリピデスとセネカ、それぞれのメデイアの描き方については、人間になったか魔女のままかというより、魔女(女神)の解釈の違いという見方もありな気がしてる。一過性であったとしても、神も女神も、その時現在では泣きも笑いもするという、よりギリシア神話に近いのがエウリピデスなのかもしれない。
『カーミラ』の章もお気に入り。読者には必見かも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 神話
感想投稿日 : 2021年2月28日
読了日 : 2021年2月13日
本棚登録日 : 2021年2月28日

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