HONZで存在を知って読んでみようと思っていたものの、なかなか手を出せないでいた。先日、朝日新聞に3月に終わったNHK朝の連ドラ「ごちそうさん」に防空法、言論統制がよく盛り込まれていたとの記事を読み、ようやく読むことに。
空襲の人的被害が防火義務による逃げ遅れであることは知っていた。
しかし、逃げ遅れ、実際には強制的な退避禁止が、国民に空襲、焼夷弾の正しい知識・情報を与えなかった出版・言論統制とも深くかかわりあっていることを初めてしった。
その一方で、政府(軍部)の発表を信じろ、流言・庇護に惑わされるなと喧伝するのはまさに詐欺的な行為ではないか。
本書にも述べられているが、事実(歴史)を知った現代の感覚からすると、そんなバカなと思われること(手袋をはめた手で落下した焼夷弾を投げ捨てたなど)でも、周囲からの情報が隔絶された(出版・言論統制が行なわれた)状態で、政府・軍部から一方的に吹き込まれる知識を信じてしまうのだろう。
また、理性か本能か空襲のある都市部から避難、疎開しようとしても許可なくしての移動では、物資・食品の配給もうけられず、また隣組などの所属組織からも非国民よばわりされる。
国が守るべきは領土や国民ではなく、国体であったことはよく言われることだが、ここでもそのことが証明されている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2014年に読んだ本
- 感想投稿日 : 2014年5月3日
- 読了日 : 2014年4月9日
- 本棚登録日 : 2014年5月3日
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