ようやく読み終えたこの今の気持ちを、どう表現すれば良いのだろうか。
武蔵乗組員たちは必死で戦う。必死で、と書いたが、死を恐れない勇敢さを、戦闘員も機関員も応急班員も持っている。一方で海に投げ出されても生きる希望を捨てない。そして危険を冒しても救助を止めない駆逐艦員たち。特攻など生命の軽視ともとれる傾向が旧日本軍にはあるのだが、第一線に立つ彼らはより高次の精神で戦い続けたことがわかる。
武蔵が沈んでも、駆逐艦が沈んでも、フィリピンが陥落しても、物語は終わらない。何故かと言えば、武蔵乗組員も駆逐艦員も、生き続けているからだ。その生命の物語を丹念に拾い続け、十数年をかけて紡ぎあげた筆者の力量には感服としか言いようがない。押し寄せてくる将兵たちの真実の声にただただページを繰り続け、1週間の夏休みの間読み続けて、ようやく本を置くことができた。戦争ものの本は数多あるが、これまで読んだ中で間違いなく一番の労作と称賛したい。そしていつか、自分もこんな生命の迸りを物語にしたい、そう思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2014年8月16日
- 読了日 : 2014年8月16日
- 本棚登録日 : 2014年8月16日
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