深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

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本棚登録 : 229
レビュー : 45
著者 :
whiteprizmさん 小説・マンガ(含☆4,5)   読み終わった 

SF。小説で☆5は初めて付けるかも。
前作(時系列が少し前で同じ舞台)の「華竜の宮」もそうだったのだけれど、組織や社会とそこで動く人と個人との距離感が抜群で、組織の非情さ/融通の利かなさ/影響の大きさ、を外から見たときの描写に現実社会と比べても全く違和感を感じない。ファンタジーは所詮個人の創作した物語、という見方は存在すると思うのだけれど、歴史、伝記などとこの、素晴らしいファンタジーを描写で同列に比較できるということは、史実であっても結局人が構成し直した物語となるのであって、文章で表現できること、表現しようと思う事は、結局著者の視点や考え以上には広がらないということなのだ。つまり、リアリティがあって、とても面白いという事です。。
あと、文章が、激情と抑制の間の揺らぎだけを写し取ったようで、好きです。
<大異変>後のお話も、続けて欲しいなあ。

・世間は…何かをやろうとする者に対して、いつも減点法でしかものを言わない。これはだめだ、それは間違っている。失敗したらどうするのか、もっといい方法があるはずだ、なぜ、こちらのほうを選ばなかったのか、どうしておれたちが言う通りにしないのか、そっちへ行っても何もないぞ―と。
でも。
人間は、減点されるために生きているわけじゃない。誉められるために、生きているわけでもないのだ。

・人類は夜空を見上げたときから、いつか、あそこへ行ってみせると決めたのです。

・でも、私たちはこのまま進みます。ザフィールも、きっとそれを一番喜びます。誤解があっても、それを解く必要などまったくないというのがあの人の口癖です。行動がすべてを物語るのだから、世の中の人々が許さないのであれば、自分たちは潔く消えていこうと…。

・「機械を仲間だと思っているだろう?はみ出しているという意味では他の連中と同じだ。」
「人間を愛する能力がなくても?」
「それは人間にとって絶対に必要な条件じゃない。

・私は―核エネルギーというものは、使わずに済むならそのほうがずっといいと思っています。本当はあの技術は地球外―つまり、宇宙開発用に限定したほうがいい。
…人類が宇宙へ出る理由―そこには科学の研究、産業の発展、社会や生活圏の拡大…様々なものがありましょうが、技術発展の問題とは、実は、その一番の理由となるべきものではないでしょうか。地球でやれないことを宇宙でやる―地球上では害悪にしかならない技術、社会を壊しかねない技術も、宇宙での生活なら役に立つかもしれません。

・「…海上民にとってアキーリ計画がどういう意味を持つのか―私は、ほとんど考えてきませんでした。海も陸も同じ人類だからと、一括りにしていたのは私のほうですね。海上民にとって、アキーリ計画は何の意味も持たない。陸で反対している人たちと同じく。そんな状況下で、私たちはアキーリ号を出発させる…」
「…パンディオンの救援活動に対してもね、何の意味も認めていない海上民は多いよ。陸からの干渉は必要ない、何もしないでくれと」

レビュー投稿日
2014年3月9日
読了日
2014年3月9日
本棚登録日
2014年3月9日
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