こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)

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  • 医学書院 (2007年5月1日発売)
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情報考学のブログに載っていた「こんなに違う!世界の性教育」から→「エッチのまわりにあるもの―保健室の社会学」→「その後の不自由」→中井久夫、にたどり着いた。
この先生もアンリ・エランベルジェを訳していたりして(エランベルジェのファンなので)嬉しくなります。精神症はかなり重度なものに触れられていて普段の生活に役立つかというと事例が極端です。ただ、看護士さんへの数回の講義を元に構成されているので、病院運営について触れてある所が示唆的だった。看護婦さんの仕事のストレスはコールセンターに近い物がある気がする。

・驚くべき病的体験、たとえば世界が粒粒に分解するというような、まだ誰も報告していない現象を話してくれる患者がいるとします。その彼が友達と映画を見に行ったり、ベースボールをしたり、喫茶店にいったりしたことを、驚くべき病的体験の話しよりも身を乗り出して興味を持って聞けるか。あるいは、たいていの患者は看護師が健康な面に光を当てているからこそ治るのかも知れません。患者が医者に多くを与えた場合、その患者の長期予後は良くない。

・急性の精神病ではできるだけでたらめに1から9まで言って下さいと頼んでも、123456789としか言えない。登頂するかしないかでグループが分裂した時も、人はゆとりがなくなり乱数を言えなくなる。

・幻聴や妄想は頭だけで受け止めて作動させているので、夢には出ない。

・いままで聞いた事がないような言葉を耳にして、その人が「なんだろう?」と考えるようにすることが精神療法。サリヴァン先生曰く「面接とは面接時間以外の2、3時間(患者の中で)働いているものである。

・人の幸不幸に関わらず、思い出は「楽しい事6:中立的な事3:つらい事1」と言われているが、つらい時には楽しい事を思い出せない。生理的に楽天的になれるのが健康になるという事で、つらい時に楽しい歌を歌わせるなどは心無いこと。

・暴れる患者は恐怖から。

・私は患者さんの訴えのときは、温度と気圧と湿度の3つを見ます。そして本人に異常がなければ、気象の責任にします。気象のせいにしても誰も傷つきません。「待つことができれば半分治ったと同じ(土井健郎)。」

・自分の支配する小世界で権力を持とうとする人は《アルコール依存症が多い。病院の催し物で、活躍したがるが私は絶対にヒラにしてきた。奉仕の形を取る権力欲。

・「君見ずや双眼の色、語らざるは憂いなきに似たり(芥川)。」家族が分離しないように病気から治れないと思っている患者は実際にいる。ペットがこの役を分担していることもある。

・感情が揺さぶられたり患者に悪感情を持つことは当然あるが、スタッフをスケープゴートにしてはいけない。キーパーソン的な人を呼んで、スケープゴートにしてはいけないとはっきり言う。

・システム改革の時は治療のスピードを緩めなければならない。それで式が崩壊した時はベースキャンプ(ゼロの状態)まで戻る必要がある。

・睡眠障害の強度の段階は最初が「寝られない」。次が「寝てもすぐ覚める」「寝ても眠った気がしない」で、「いくら寝ても寝たりない」。徹夜しようと思っても5時ごろにはうとうとするが、本当に全不眠で2、3日目に「自分は天才になった」「もう眠らなくてもよい体になった」と思ったら、すぐ精神科医に行きなさい。「なかなか眠れない」が一番軽い。「何時までに起きねばならない」と考えると寝られないが、「何時まで眠っていいよ」と自分に言い聞かせると眠れる。

・子供がお腹が痛いと言った時に、「ビオフェルミンでも飲んどき」と言うか、どれどれとお腹を触ったり顔色を見てあげたりできるかどうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理・カウンセリング ☆4,5
感想投稿日 : 2011年9月18日
読了日 : 2011年9月18日
本棚登録日 : 2011年9月18日

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