・「日本人は葛藤を美的に解決する手段を持っている。西洋人の場合は葛藤の解決といったら、もうロジックしか考えられない。ところが日本人はロジックを使わずにちゃんと美的に解決している」
中村:ヒルマンが日本人のことを美的と言われたのは、一応それでいいけれど、ちょっといかにも西洋人的だという気がして、もう少し突っ込んでほしい感じですね。日本人というとすぐ美的ということを重視するのは、まあ、もののわかる西洋人ではあるんですが。
私がフランスで講演したときにも質問を受けて感じたんですが、早わかりして美的と言われ、それで特殊なものとしてくくられても困るわけですね。それで私の考えでは、美的と言われているのを言い換えて、共通感覚的だといったほうがいいと思うし、西洋人にとっても彼らの伝統とつながって好都合だと思うんです。共通感覚は、分析的な論理に比べてもともと美的という一面を持っていますしね。
・河合:それからもう一つ印象を受けるのは、箱庭の「分割」の問題がありますね。その分割が二分割というのは非常にわかりやすい。たとえば一番初めに触れました日常と非日常の対立とかね。それに対して心身症の人の治療で、領域の三分割というのがわりあい出てくるわけですね。三分割をどう考えたらいいか、われわれとしても困るんですが。
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カテゴリ:
人間・啓発
- 感想投稿日 : 2013年11月26日
- 読了日 : 2013年11月26日
- 本棚登録日 : 2013年11月26日
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