HARD THINGS

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レビュー : 168
制作 : 小澤隆生  滑川海彦、高橋信夫 
whiteprizmさん  未設定  読み終わった 

・「私は数多くの取引の過程である方法を確立した。物事を進める方法、いや哲学といってもいい。その哲学の中で、私には確固たる信念がいくつかある。私は『恣意的に設定するデッドライン』の効果を信じている。私は競り合わせ効果を信じているのだ。契約のためなら、法や人の道に外れない限り、どんなことでもすべきだと私は信じている」

・私はビル・キャンベルにEDSとの合意という良いニュースを伝えた。契約の署名が済み、月曜日にニューヨークで発表する予定だs。ところがビルは、「残念ながら、きみはニューヨークの発表会には参加できない。マークに行ってもらう」と言った。
「どういう意味です?」と私は尋ねた。
「きみは会社に残り、全員の立場を理解していることを確かめなきゃいけない。一日も待てない。いや、むしろ1分だって待てない。従業員たちは、自分がきみのために働くのか、EDSに行くのか、いまいましい職探しをするのかを知る必要がある」とビルは答えた。ビルは正しかった。

・エンジニアたちは不安だった。彼らは、製品を市場に出す前にしておくべき作業の長いリストを私のところに持ってきた。そして、より洗練された競合製品の名前を挙げた。延々と続くエンジニアたちの反論を聞いていると、彼らが加えたがっている昨日はいずれもEDSの要求だと気付いた。たとえつらくても、正しい製品をつくる知識を得るには、もっと広い市場に出る必要があった。逆説的ではあるが、その唯一の方法は、間違った製品でもいいからまず売ってみることだった。無残に失敗する危険はあるが、生き残りに必要なことをいち早く学べるはずだ。

・私の経歴の中で早くに学んだ教訓は、大企業でプロジェクト全体が遅れる原因は、必ずひとりの人間に帰着するということだった。エンジニアが決断を待って立往生しているかもしれないし、マネジャーが重要な購買の権限が自分にはないと思っているかもしれない。そういう小さな、一見些細なためらいが、致命的な遅れの原因になりかねない。

・手始めに、ジョンと私はマイケル・オーヴィッツに電話でアドバイスを求めた。買い手候補のひとつ、オラクルが高値をつける可能性は低いとわれわれは考えていた。なぜなら、財務分析が恐ろしく厳重な会社だったからだs。そのことをマイケルに伝え、オラクルと交渉すべきかどうか尋ねた。彼の返答には千金の価値があった。「いいかきみたち、ドッグレースをやるつもりなら、前を走るウサギが必要だろう。オラクルは、この上なくすごいウサギだ」

・スタートアップのCEOは確率を考えてはいけない。会社の運営では、答えがあると信じなきゃいけない。答えが見つかる確率を考えてはいけない。とにかく見つけるしかない。可能性が10に9つであろうと1000にひとつであろうと、する仕事は変わらない。
最終的に私は答えを見つけた。われわれはEDSへの事業の譲渡契約を成功させて、会社は倒産せずに済んだ。それでも、私はビルがあのとき倒産する確率が高いという真実を教えてくれたことを心から感謝している。それでも私は統計を信じない。

・良い手がないときに最善の手を打つ。偉大になりたいのならこれこそが挑戦だ。偉大になりたくないのなら、あなたは会社を立ち上げるべきでなかった。

・「ありのままに伝えることが重要」。すばらしいテクノロジー企業を築くには、驚くほど賢い人々を大勢集めなくてはならない。たくさんの大きな脳を最大の問題に使わないのは、大いなる無駄遣いだ。脳は、たとえどんなに大きい脳でも、知らない問題は解決できない。オープンソースコミュニティがこう言っている。「十分な数の目玉があれば、どんなバグも洗い出される」

・CEOがレイオフするのは会社が計画を達成できなかったからだ。個人の業績が問題なら別の手段をとるはずだ。失敗したのは会社の業績だ。この区別は決定的に重要である。なぜなら、会社やレイオフされる個人に対するメッセージは、「よし、これで業績問題が片付く」であってはならないからだ。メッセージは、「会社が失敗したので、前へ進むために、優秀な人たちを手放さなくてはならない」というものであるべきだ。

・物事がうまく運んでいる間は、良い会社かどうかはあまり重要ではないが、何かがおかしくなったときには、生死を分ける違いになることがある。
物事は必ずおかしくなる。
良い会社でいることは、それ自体が目的である。

・マネジャーが社員の生産性を改善する方法はふたつしかない。動機づけと教育だ。よって、教育は組織のマネジャー全員にとって、もっとも基本的な要件である。この要件を強制する効果的な方法のひとつは、採用予定者向け教育プログラムを開発するまで、その部署の新規雇用を保留することだ。

・役員報酬を考えてみよう。CEOのところには上級社員が給与の改善を要求しに面会に来る。彼らは「現在の公正な市場価格に比べて自分の給与は低すぎる」というようなことを言う。「自分はライバル企業から高級でスカウトされている」と言う社員もいる。この種の駆け引きに直面した場合、その社員の主張に合理性があると、経営者はこの問題を真剣に取り上げることになりがちだ。中には社員の主張を認めて昇給を実施する経営者もいるだろう。一見、問題なさそうな行動だが、経営者はこうすることで政治的行動への強力なインセンティブを作り出しているのだ。つまり経営者は、会社のビジネスへの貢献以外の社員の行動に、報酬を与えたことになる。

・組織デザインで覚えておくべきルールは、すべての組織デザインは悪いということだ。あらゆる組織デザインは、会社のある部分のコミュニケーションを犠牲にすることによって、他部分のコミュニケーションを改善する。

・私は成功したCEOに出会うたびに「どうやって成功したのか?」と尋ねてきた。凡庸なCEOは、優れた戦略的着眼点やビジネスセンスなど、自己満足的な理由を挙げた。しかし偉大なCEOたちの答えは驚くほど似通っていた。彼らは異口同音に「私は投げ出さなかった」と答えた。

レビュー投稿日
2017年5月4日
読了日
2017年5月4日
本棚登録日
2017年5月4日
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