イティハーサ 全7巻

著者 :
  • 早川書房 (2003年11月15日発売)
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本棚登録 : 119
感想 : 24

・おれは…自分の運命を呪ったことはない。
嘆いたことも、恐れたこともない。
甘受しなければならない運命なら、
ただ静かにそれを受け入れるしかないと、ずっと、そう思ってきた。
だからおれは、不幸とは無縁だった
だが不幸と無縁ということは、幸福とも無縁ということだ。おれは一切と無縁だった、幸も不幸も、善も悪も、愛も憎悪も。そうしなければ正気を保てなかった。
天地は限りなく美しく厳しく、おれはそこにただ在るだけで、それだけで良かった。
だがこうして櫛を作っていると、これを手渡せない自分が、無性に哀しかった、哀しいと、はじめて思った。
哀しい分だけ、哀しみの深さの分だけ、おれは幸福なのかもしれないと、思った。

・風になれたらいいのに、そうしたらいつでも見ていられる。空の高みから、梢の陰から。そうして時々髪を散らして困らすの。

・偶然より運命ははるかに強い。

・水は流れて水となり、風は吹いて風となる。そして、人はゆらいで人となる…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・マンガ(含☆4,5)
感想投稿日 : 2014年6月18日
読了日 : 2014年6月18日
本棚登録日 : 2014年6月18日

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