訳者もあとがきで書いているが、今年は、天文ショーが目白押しだ。5月21日にあった金環日食をはじめとする一連の天体ショーに魅せられた人は多い。そんな今年にぴったりなのが今回紹介する本だ。
今回のテーマとなっているのが金星の日面経過だ。今でも南の島に行くには飛行機を使っても時間がかかるのに、18世紀では船を使って行った。ドンブラコ、ドンブラコと揺られながら、ある時は嵐に巻き込まれて船酔いしたり、またあるときは照りつける太陽にヒーヒー言ったり、ネズミに食料をかじられて悲惨な目にあったりしながら航海していくのだから並大抵のことではない。
科学者が国の違いを超えて協力+反目しながらも目的達成のために動いた。そして、ヨーロッパ列強も、最初から参加した国や2回目になって参加した国など温度差が見られるが、国威発揚という今でもやりそうな手段を使って金星の日面経過を拝んだ。
1回目は1761年6月6日で、2回目は1769年6月3日だった。科学の発達のおかげもあるが、いつの世も天体ショーは人をひきつけてやまない。
科学者同士のドロドロした人間関係を読んでいくと、次のようなことが浮かんできた。天文学、政治学、考古学と、天の世界、現実の世界、歴史の世界、いずれにしても、人間がかかわるだけに学問の世界も大変なのが読んで分かる。宇宙人ジョーンズが聞いたらどう思うのだろうかとふと頭をよぎった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年9月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年9月19日
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