アメリカ型ポピュリズムの恐怖 「トヨタたたき」はなぜ起きたか (光文社新書 615)

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  • 光文社 (2012年12月14日発売)
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 あの自由の女神を見ていると、あの手に持っている松明と本は、「黙っていうことをお聞き」と言ってビシビシ、ヒーヒー言わせるための道具に見えるのは気のせいだろうか。そう思ったのは、2009年に起こったアメリカでのリコール騒動と言い、20世紀に起こった貿易摩擦が原因で起こった日本バッシングを振り返ると気のせいとは思えない今日この頃だ。

 あのトヨタの集団民事訴訟で、トヨタはトヨタ車オーナーの原告に対して11億ドル(葯40億円)の支払うという和解案に合意したという発表があった。トヨタ車のアクセルよりも、アクセル全開にして突っ走って、ブレーキが利かないアメリカのマスコミの方がよっぽど怖いと思った。

 よく日本のマスコミは、民主党政権は、共和党政権よりも日本に対して厳しいという。振り返ってみるとクリントン政権、カーター政権など民主党政権は日本の民主党と同じく、労働団体を支持母体の一つだけに、日本の自動車が大量にアメリカ市場に入り込み、売れると困ることになる。それに日本の自動車会社は、アメリカに進出しても労働組合を歓迎しないので、UAW(全米自動車労働組合)などにとっても面白いわけがなく、ロビー活動を通じて日本に圧力をかけることになる。

 アメリカ議会の公聴会は、質問する議員にとっては「晴れの舞台」となっているようだ。ここで得点を稼ぐと、特に選挙が近い時期だと当選への実績作りができるだけに重要なパフォーマンスの舞台だ。

日本でも、民主党政権が事業仕分けで質問した議員にとっては「晴れの場」となり自己PRに最適ではあった。しかし、その後の展開を見るとなんだそれという結果になっている。

 トヨタが世界販売台数で2012年度再び世界一になったというニュースが流れていた。また狙われないように、拡大一直線だけでなく、品質及びロビー活動の強化も問われるだけに、アメリカ市場で商売する難しさが浮き彫りになる。「アメリカリスク」と言ったところか。尻叩きよりもお金が絡んでくるだけに怖い。

週刊ダイヤモンドの記事

http://diamond.jp/articles/-/30545

ブルームバーグの記事

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGMH8Z6TTDTR01.html

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感想投稿日 : 2013年1月16日
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本棚登録日 : 2013年1月16日

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