夢の守り人 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4996
レビュー : 468
著者 :
花鳥風月さん 小説・ファンタジー/SF   読み終わった 

「行きて帰りし物語」という言葉がある。どこが出典だったかと調べるとトールキンだった。ファンタジーの一つの類型として、異世界へ「行って」そこからちゃんと「帰ってくる」物語というものがある。いつもファンタジーを読む時に、頭のどこかにある言葉の一つだ。異世界へ行ったままではだめなのである。ちゃんと帰ってこなければならない。ちゃんと帰ってこそ、その勇気と功績を称えることもできる。

『夢の守り人』は、タンダが夢の世界へ行って帰ってくる物語だ。タンダが自分を見失わず、帰ってくる。その姿に胸が躍る。これだけでも十分読み応えがあるが、この夢の世界の意味するところが深い。私たちの人生とか、意識や無意識といったところへ鋭く迫ってくる内容。解釈はおそらく幾通りでもあるが、読んだ人がそれぞれ、自分のことに引き寄せて読むのが一番いいのだろう。

「花」をめぐる会話や文は、人生の折々で自分の境遇の例えに引けるような強度を持っていると思う。
「あの中で、「花番」が~と言うところがあるだろう。あれはこういうことなんじゃないのかね」と、仮想の対話を思い浮かべる。

『闇の守り人』の時にも思ったが、人間の「怒り」が美しく、崇高に表現されている。それはファンタジーという枠組みを使わないと難しいことだ、と改めて思う。

レビュー投稿日
2012年6月3日
読了日
2012年6月3日
本棚登録日
2012年6月3日
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