本の枕草紙

  • 文藝春秋 (1982年11月1日発売)
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相変らず左翼根性まるだしの井上ひさし
 「背文字の問題」や「索引で本が化ける」など、本についての蘊蓄はおもしろいものもある。辞書に書きこむとか、本に赤線を引いて表紙の裏に索引をつけるとかは、実践してみたくなった。
 だが、下ネタは低俗で下品でバッチイ。再販制やISBNなど本にまつはる社会派の論難は、相変らず息苦しく感じられる。
 なにより、時をりひょいと顔を見せる天皇制だの護憲だのの話は井上のもっとも悪い十八番で、左翼根性を剥き出しにしてゐる。
 本書の欠点もそこにある。本の話の連載だと思ひきや、突然「読物としての新憲法」で、改憲論者は棄憲論者あるいは新・新憲法制定論者と名乗るべきだと書いてゐて面喰らふ。しかしさう呼ぶことになんの意味があるのか。
 だいたい三大原則のうち、一原則でもなくなってしまへば新憲法破棄だと書いてあるが、その三大原則なるものは井上自身が設定したものだから、議論も何もない、井上に都合のいい論理である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月8日
読了日 : 2023年1月8日
本棚登録日 : 2023年1月8日

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