天動説の絵本 (安野光雅の絵本)

著者 :
  • 福音館書店 (1979年8月5日発売)
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対象年齢は「小学校中級~大人まで」とされている。でも実際は大人向けのような気がする。いままで学んできた、当たり前と思う真実の積み重ねの下に、かつて真実とされていたいくつもの誤りがあるのだと知ってしまったひと向け。あるいは、それをまだ知らないひとが累々たる誤りを犠牲にしていまここの知見に自分は立つのだとこの絵本で出逢うのかもしれない。


人類の原始から紆余曲折しながら積み重ねてきた知識。進み、加えて、崩し、後戻りし、失ってまた迷いながら新しく得てきた知識。
その最新の理論を、私たちはいきなり教えられる。どんな過程があって、どんな葛藤をくぐって、その地点にまでやっと辿りついたかも知らないまま、現時点での最新にして正しい知識を与えられる。
それはとても幸福で、そしてとんでもない欠落なのかもしれない。この成果物の裏側にどれだけの流れた血や踏みにじられた尊厳、不幸な混沌があったことか…。思い至らぬままで正しいと胸を張る。その歪つ。

聖書の時代の私たちにはその時代の真理までの理解しかできなかった。一歩一歩私たちは進んできて、いま、2000年前のあのときより、聖書のあの時代より、神さまに近づいてきているのだ。

私たちは立ち止まっていない。
真理という神さまの方向へ進んでゆく。神さまとはきっととてもシンプルで美しい、宇宙を形づくる法則なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Quo Vadis
感想投稿日 : 2021年4月29日
読了日 : 2021年4月28日
本棚登録日 : 2018年7月6日

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