昭和天皇の戦後日本 <憲法・安保体制>にいたる道

  • 岩波書店 (2015年7月28日発売)
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二・二六事件、80年目の日に。

昭和天皇にあっては、共産主義による天皇制の妥当という脅威に対処し、これを乗り越えることが憲法規定を遵守するよりも重要なことであった。

昭和天皇は日本の敗戦から講和条約の締結に至るまでに、天皇制の維持それ自体が危機に瀕するような、二つの重大かつ深刻な危機に直面した。

第一の危機として、憲法改正の成り行き次第では天皇制が廃止される危険性がありえたし、更に東京裁判の展開次第では昭和天皇自信が訴追される恐れもあった。


これらを回避するために「象徴天皇制」は、天皇制を維持するための手段として、昭和天皇も歓迎した。


<blockquote>30代において50代、60代の軍部指導者たちを相手に、立憲君主と大元帥という「二つの顔」を使い分けて自体に体操した昭和天皇にあって、占領期に駆使することになったのが、事実上の「外交権」であった。軍人として育てられた唯一の天皇である昭和天皇は、内政・外交の全般にわたっても「帝王学」を学んだ。こうした"偉大な素養"
こそが、生田の危機を乗り越え、62年と二週間という歴代天皇で最長の在位を可能とした。(P.301)</blockquote>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月20日
読了日 : 2016年2月26日
本棚登録日 : 2018年11月20日

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