Extremely Loud and Incredibly Close

  • Penguin (2006年4月6日発売)
本で見る
5.00
  • (4)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 20
感想 : 4
5

 細かい仕掛けが沢山ある(たぶん)ので何度か読み返さないとわからないことが多そう。例えば序盤の文具店?で、ペンの試し書きパッドに"Thomas Shell"という父の名前を見つけてオスカー少年は何かの意味を見出そうとするけど、実はそれが同名の祖父の手であったことが後に分かる、など。
 映画版はオスカー少年の一人称視点をとてもよく表現していたが、小説での核心的な要素を半分くらいばっさりカットしていた。それ自体はいいのだけど、この特徴的なタイトルの意味が全くわからなくなってしまっていると感じる。Incredibly CloseとExtremely Loudは小説中で頻出する表現で少年の口癖に近い。前者は主に話している相手との物理的な距離、後者は話し声や笑い声などに使われている。単純には、多くの人を訪ねて回った少年が彼らに抱いた感想、ということでいいような気がする。それに当てはまらず、かつ2つの表現が両方とも使われている箇所が一つあるけど、そこでのメタファーは余りに明白なので特に問題はないと思う。
 深夜に乗じて書いてしまう。9.11以後をどう生きるか、という"例の問題"、9.11以前の世界を第二次大戦後の世界として生きていた老夫婦、何以前だろうと何以後だろうと、そもそもこの世界をどうやって生きるのか、という少年、というふうに問題が重層化しているということになるのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・詩・戯曲(海外)
感想投稿日 : 2015年1月19日
読了日 : 2015年1月10日
本棚登録日 : 2014年12月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする