一九世紀に発明されて以来、約一五〇年間の写真史を追った入門書。
西洋中心の写真史に比較材料として日本人の作品が挿入される、そのバランスがちょうどよかった。世界初の写真を使ったセルフポートレートが、写真家が死体の演技をして撮ったものというのは象徴的で面白い。
撮影者と被写体の非対称性にはあえて踏み込まずに書いているのはわかるけど、どうしたって裸の女性ばかりがモデルとして出てくるのは気になってしまう。メイプルソープの項で彼が男性を性対象にしていたことに触れるなら、男性から女性へのまなざしにも一言くらいはエクスキュースを入れてもよかったのではないか。シャルコーがでっちあげた女性のヒステリー患者の写真を、最終的に肯定しているのも気にかかる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2020年5月28日
- 読了日 : 2020年5月13日
- 本棚登録日 : 2020年5月28日
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