冬の夜ひとりの旅人が (ちくま文庫)

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本棚登録 : 370
レビュー : 18
制作 : Italo Calvino  脇 功 
がとさん  未設定  読み終わった 

2/24 読了。
「あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている」という一行から始まるメタフィクション。<あなた>と語りかけられているのは、モデル読者として設定されている<男性読者>。彼が読み始めた『冬の夜ひとりの旅人が』は、一章が終わると白紙になっていた。書店に講義をしに行くと、同じように落丁本を掴まされたという<女性読者>ルドミッラと出逢い、一目惚れしてしまう。『冬の夜』の続きが読めると言われて渡された『マルボルグの外へ』は一章から全く違う小説であり、<男性読者>はルドミッラにも報告しようと電話をかけるが、それを受けたのはルドミッラの姉ロターリアだった。
本に書かれているままに読みたいと願うルドミッラ、解釈ありきの研究者ロターリア、インチキ偽作者マラーナ、書けない小説家フラナリー、検閲者、スパイ、果ては国家警察など、さまざまな<読者>が入れ替わり立ち代り<男性読者>を惑わせていく。読む行為とは何かを楽しく考えさせるカルヴィーノらしい小説。<男性読者>と<女性読者>のラブコメ風追跡劇と、<男性読者>が読む作中小説を交互に読むことになるのだが、前者がいちおう直線的に進む物語なのに対し、後者は最後まで一章しか読めない。しかもそれぞれが誰かしらの文体模倣になっているらしい。ボルヘスと川端だけ分かった。追跡劇の方もコメディタッチながら話が進むにつれてジャンルが移動していく。スパイだらけの国でディストピアSFみたいになる章が好き。

関連本:リチャード・ブローディガン「愛のゆくえ」

レビュー投稿日
2015年2月25日
読了日
2015年2月24日
本棚登録日
2012年2月6日
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