虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

4.13
  • (1717)
  • (1672)
  • (723)
  • (147)
  • (48)
本棚登録 : 11152
レビュー : 1503
著者 :
らきむぼんさん SF   読み終わった 

9・11以降の、“テロとの戦い"は転機を迎えていた。
先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……
彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官"とは?
ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。


・レビュー

これはなかなか説明の難しい小説だと思う。個人的には高評価だし、良かった。読みながら、色々と考えることもあった。短い小説だし、図書館にもあるから、気になったらサクッと読んでしまって、その後で「良かった」とか「普通だった」とか「読む程でもなかったとか」とかそんなことを思えばいいかなと、珍しく「考えないで読んでみたら」という感じの感想を持った。
まず、サクッと読んでしまって、などといえるのは内容が凄まじく濃厚であるにもかかわらず文体は非常に軽やかで読みやすいというところにある。内容が無理じゃなければスラスラ読むことができる。
内容は近未来、テロとの戦いが現代とは少し変わった未来。明示されてはいないけれど、ほんとにそう遠い未来じゃない話だというニュアンスだったように思う。2025年か30年か、そのあたりか。
ネタバレ無しだと非常に難しいのだけれど、この物語は現代人が過去から脈々と受け継いできた幾つかの根深い矛盾とか葛藤をテーマにしている。その手法として、現代よりも進んだ科学だとか、テロと向き合うために変化してきた世界の有り様を用いている。そういった現代を超越したSF的な道具を使うことで現代的なテーマを浮き彫りにしているという感じ。
タイトルからは想像できない繊細さのある小説で、一人称視点だということが大きく鍵になる。
ネタバレになるのでこれがどういう意味なのかは書けないのだけれど、これは非常に重要なポイントだと思う。
エピローグは賛否あるようだけれど、個人的には小松左京の評価がある意味では正当で的確だったということを述べた上で、それでもあのラストにすべきだったと思う。
『ハーモニー』の方も、あまり時間を開けずに読んでおこうと思う。ノイタミナでアニメ化されるようなので。
ネタバレの上での感想に関してはブログの方に警告付きで加えます。

レビュー投稿日
2014年5月5日
読了日
2014年5月5日
本棚登録日
2014年3月23日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』のレビューをもっとみる

『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』にらきむぼんさんがつけたタグ

ツイートする