ラノベなのだが、SFテイスト満載のショートショート連作短編集。というか、これはレイ・ブラッドベリの『火星人年代記』のゾンビ版とでも言うべき作品である。西暦2100年代から3100年代までが描かれる。
吸血鬼が人類を圧倒し、多数派になるという作品は、過去にいくつかあったが、ゾンビが多数派になるという物語は初めてではないか。
なかなか設定はが凝っており、ゾンビは人間を喰らうわけではなく、食糧は腐った食品である。したがって、チーズや納豆などの「発酵」食品は食べることができるのだ。バレンタインデイーには「チョコ」の替りに「チーズ」を送るようになる。そして、その特性から宇宙開発(月面、火星)に重用されることになる。まあ一種の隔離政策とも言えるが。
しかし、ゾンビは既に「死亡」しており、生殖して子孫を残すことは不可能。そして旧来の人類は、いつしか滅びの道をたどることに…
本書はラノベとはいえ、侮れない作品である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF・ファンタジー
- 感想投稿日 : 2025年3月19日
- 読了日 : 2025年3月19日
- 本棚登録日 : 2025年3月19日
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