ナースの卯月に視えるもの (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2024年5月8日発売)
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 看護師が主人公の連作短編集で、医療系お仕事ミステリ。
 総合病院の長期療養病棟で働く卯月咲笑は、入職7年目の看護師。同性の恋人を事故で失ってから、死期の迫った患者の「思い残し」が視えるようになる。「思い残し」とは、人物の姿をしているのだが、会話したり声を聴いたりすることはできない。

 以前読んだ『BORDER』は死者と会話ができる刑事の話だったが、それとちょっとにている。こちらは「会話」ができないので、患者の過去や生活環境から、その「思い残し」の正体を探っていく。

 作者は、13年ほど看護師として勤務したという。その経験をもとにして物語を書いているのだろう。実は私の連れ合いも看護師で、そのキャリアは30年以上ある(現役です)。私自身も若いころ小さな病院で、事務職として働いた経験があるので、看護師の仕事や生活については馴染みがある。それでとても面白く読めたのだが、表紙カバーの絵だけはいただけない。ナースキャップをつけているのだ。衛生上の観点から、現在では廃止されているところがほとんどだ。連れ合いの勤める病院も、私が通院しているクリニックもナースキャップはつけていない。そして、ナースウェアもスクラブタイプが主流になってきている。ワンピースタイプは、ほとんど見ません。

 シリーズの第二巻も出版されている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2024年11月10日
読了日 : 2024年11月10日
本棚登録日 : 2024年11月10日

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