なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる
- 英治出版 (2017年8月9日発売)
「なぜ弱さを見せ合える組織が強いのか」Robert Kegan, Lisa Laskow Lahey
仕事で燃え尽きる最大の原因は、成長を感じられずに長く働き続ける事。
VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)が強まる世界では、試練もチャンスも増える。このような環境では社員の一人一人に要求されるものが多くなる。
VUCA時代の企業は、技術的な課題だけでなく、適応を要する課題にも直面する。技術的な課題は、マインドセットと組織デザインを改良する事で対応できるが、適応を要する課題は、個人や組織がそれまでの自己を超越しなければ対処できない。
従来的幸福の定義は、喜びを感じられる状態、苦痛や退屈を感じない状態、そして前向きな感情やレジリエンスを通じて、ものごとへの関わりとやり甲斐を感じられる状態。一般的に称賛される「いい職場」でやり取りされる「新しい所得」はこのタイプ。具体的にはフレックス勤務、ビリヤード台とダーツボード、専属シェフによる24時間体制の食事提供、有識者を招いた講演会、昼寝スペース、無制限に取得できる休暇等。
一方、ユーダイモニアとは、人間が可能性を開花させるプロセスを幸福とみなす考え方。やり甲斐と関わりの要素を伴うが、その感覚は自己の成長と開花を経験する事。ありたい自分の姿に近づく事。より自分らしく世界と関わる事による充実感との関係で得られるもの。
弱さは、恥や恐れや自己肯定感の乏しさの基である反面、喜びと創造性、帰属意識、愛情の根源にもなる。
社員が成長し始めると、売上とビジネス全般に好ましい影響が及ぶ。
人間には他人に奉仕する天性の性質が備わっており、もし仕事の場で他人に奉仕して充実感を味わえなければ職場以外でボランティア活動に携わり、その充実感を得ようとする。
人は自らの成長を感じ、同時に他の人を助ける活動に携わっている時、真の豊かさを、つまり長く続く幸福感を味わえる。この豊かさは給料からは得られない。
長期の幸福感は、意義を感じられるような仕事を作り出せる文化があって初めて得られる。
人は手段であるだけでなく、それ自体として尊重される目的である。
ワークライフバランスを目標やキャッチフレーズにする事を拒む。もしライフが職場から排除されれば、ワークは非常に暗澹たるものになるから。喜びのある人生と仕事はトレードオフにはならない。
昔は、人を大切にするとは会社と社員が絆で結ばれ、会社が社員を保護する事を意味したが、今は人々が開花できる場をつくる事。人が花開くとは、楽しく生きる事や自我が脅威や試練やリスクにさらされない事を意味するわけではない。
全てのメンバーがコミュニティ的な意識決定プロセスに参加する。
あなたは、自分がどのくらい優れているかと、どのくらい速いペースで学習しているかのどちらをより心配しているのか?
社員のキャリアの発展ではなく、社員の人間としての発達に光を当て、組織を大きくすることにより、組織をよくする事をまず考える。
発達するとは、人が世界をどのように理解するか?そして年齢を経るにつれて、その理解がどのように広がり、歪みが小さくなり、ほかの人の視点を受け入れられるようになり、しかも主体性が高まっていくか?
人は、個人の知性のレベルがその人の行動に及ぼす影響について驚くほど知らないが、個人の行動はその人がどのレベルの知性に基づいて組織文化を見るかに強く影響される。
組織としての目標とメンバーの能力の発達を一体のものと考える。
文化と利益がトレードオフの関係にある時はいつも文化を優先させる。
職場生活に個人の内面の要素を持ち込み、外面の行動だけでなく頭の中の事にも関心を向ける必要がある。
繰り返し活用できる安定的な慣行や構造、ツールが必要。
- 感想投稿日 : 2018年1月11日
- 読了日 : 2018年1月11日
- 本棚登録日 : 2017年12月27日
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