冬の旅人〈下〉 (講談社文庫)

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本棚登録 : 54
レビュー : 6
著者 :
xmayumixさん 邦人作者名 ま~も   読み終わった 

 ロシア革命前、一枚の絵にみせられて、ロシアに渡った日本女性の話。

 ものすごい波乱万丈です。
 主人公環(タマーラ)は、裕福な家に育ったけど没落し、奉公にでる。裕福だった頃にいっていたロシア教会のつてで、イコンを学ぶためにロシアにいき、女学校にはいる。でも、なんやかやでそこも追われ、帰国させられそうになり…。
 もう、昼ドラも真っ青な波乱ぶり。
 でも、革命前のロシアならそれもありかと思わせる雰囲気と、主人公の魅力と、皆川博子の説得力のつよい筆。これらが絡みあって、それこそ絵画のように迫ってくる。
 彼女をとりこにした絵、そして、異母妹の夫の連れ子へ憧憬、彼女を突き動かすものへの情熱が激しくて、圧倒される。そして、それらが連れて行く先での出来事が、哀れを誘う。
 もうちょっとむくわれてもいいんじゃないかと、異母妹の夫の連れ子はもっとあってもいいんじゃないかと思うんだけど、そこを突き放してしまえる大胆さが皆川博子の懐の深さなんだろう。
 
 環は、結局なにも成せなかったのかもしれない。
 けれど、成すことだけが意味があって、成さないことは無意味、であるということは、決してない。
 ってことが、大事なんだろう。多分。

レビュー投稿日
2010年5月8日
読了日
2007年5月8日
本棚登録日
2007年5月8日
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