2009年2月8日~8日。
あの「家守綺譚」にも登場した村田の物語である。
「滞土録」の「土」とは「土耳古」つまり「トルコ」である。
書籍として発売されたのは「家守綺譚」の方が先のようだが、執筆時期は同時期、あるいは「家守綺譚」よりも前かも知れない。
最後には「綿貫」「高堂」「ゴロー」も登場する。
では、「家守綺譚」のように「あっち」と「こっち」がごく自然に交わり合っている物語なのか?
全然違う。
確かに不思議な事件は発生する。
しかし、ここにあるのは、哀しいくらいの「現実」だ。
「……国とは、一体何なのだろう、と思う」から続く最後の段落、これが一番言いたかったことではないのだろうか。
今一度執筆時期を確認してみる。
「初出「本の旅人」2002年10月号~2003年10月号連載」(Wikipediayより)。
その一年前の「9.11」に何が起こったか。
そしてその後に何が起こったか。
作者はエッセイ集「ぐるりのこと」でも「それ」に触れている。
「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」
最後に鸚鵡がこう叫ぶ。
「友よ」
泣ける……。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
梨木果歩
- 感想投稿日 : 2018年1月6日
- 読了日 : 2022年11月24日
- 本棚登録日 : 2017年12月28日
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