さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)

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本棚登録 : 1164
レビュー : 141
著者 :
制作 : 加藤 典洋 
yamada3desuさん 高橋源一郎   読み終わった 

 再読。
 再読、とはいっても今までは単行本、及び講談社文庫で発売されていたものを読んでいた。
 今回は講談社文芸文庫として出版された版で読んでいる。
 うちには三種類の「さようなら、ギャングたち」があるということだ。
 
 もっとも多く読み返した作品がこの「さようなら、ギャングたち」だろう。
 二桁、までは到達していないだろうけど、七、八回は読み返したと思う。
 それほどまでに読み返すほどの魅力がこの作品のどこにあるのだろう。

 すでに内容を知っている状態で読み返すと、始終切ない気持ちで読み通すことになる。
 本当に切ない気持ちになってしまう。
 本当に哀しい気持ちになってしまう。
 何故なんだろう。

 短いフラグメントが集積されてひとつの物語を形作っている、という形式。
 バーセルミや村上春樹の「風の歌を聴け」やブローティガンの「アメリカの鱒釣り」「西瓜糖の日々」のような形式、と言えば分りやすいだろうか。

 詩、なのかも知れないし、前衛的なのかもしれない。
 たった一行だけのフグラグメントもあれば大島弓子の漫画のみによるフラグメントもある。
 僕は全く前衛的とは思っていないのだけれど、やはり他の小説とは全く異なった言葉、全く異なった文章で書かれていると思う。

 コクトーの「恐るべき子供たち」やコルタサルの「南部高速道路」その他過去の様々な小説へのオマージュともとれる箇所も随所に見受けられる。
 きっと僕が読んだこともない作品にも触れている箇所があるのだろう。

 万人向けでは決してない。
 読んでみて「全く意味不明」と思われる方もいると思う。
 僕もきっと意味不明のままに何度も読み返しているのだと思う。
 それでもこの切なさ、この哀しみの疑似体験は得も言われぬ快楽を呼び起こす。
 だから何度でも浸ってしまう。

レビュー投稿日
2018年1月6日
読了日
2018年1月6日
本棚登録日
2017年12月28日
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