家族シネマ

2.85
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本棚登録 : 217
レビュー : 22
著者 :
yamadaroxさん 小説   読み終わった 

父を捨てた母は姉と弟を連れ、妹は父の家に置き去りにされた。それから一家は離散し20年が過ぎる。売れない女優になっている妹の映画の企画で、一家は同じ映画に家族として出ることになる。というのが物語の発端。主人公の姉は柳美里自身を投影したものなようで、以前に知り合いをそのままモデルにした小説で一悶着を起こしたことを思い出させる。作家としては自分の人生を煮詰めて調理して切り売りするのが仕事だと思うので、それは正しい姿なのだろう。この作品がどれほど現実をモデルにしているのかはわからないが、父母妹の設定は実際の柳美里の関係そのままが使われているようだ。文章は安定していて、主人公の視点が、回りの人間を抉るように描写していくので、興味深い。挿話として出てくる主人公の恋の話に、年寄りの芸術家で、女の尻を撮るのが好きな老人が出てくることが、この作品をただの家族物語に終わらせていない。家族は母と父との確執を中心に書かれるのだが、姉妹間などの関係が希薄なのが仲の良くない兄弟という印象付けで上手かった。優越感とコンプレックスとの人間関係の真ん中で、主人公の感じる感覚を文章にするのが上手いと思った。

レビュー投稿日
2010年8月16日
読了日
2010年8月16日
本棚登録日
2010年8月16日
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