註文帳 白鷺 (岩波文庫 緑 27-14)

  • 岩波書店 (1936年6月30日発売)
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感想 : 4
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再読。「註文帳」は鏡花らしい美しい怪談。惚れた男を殺して無理心中しようとした芸者が、相手を殺し損ねて自分だけ死んでしまい怨念を残す。剃刀や鏡などのアイテムからじわじわと恐怖を煽る手腕は流石。

「白鷺」のほうもちょっとした幽霊譚だけれども、話のメインは何故その幽霊が出るのかという過去回想のほうで、こちらは正直ちょっと微妙だった。幽霊になって出てくる芸者・お篠さんの境遇はそりゃとても可哀想だけれど、だからといってそれを、彼女に貢いでた男の奥さんに、その弟が美談風に語っちゃうというのはどうなのか。旦那の浮気相手の幽霊が可哀想だから親切にしろと言われても、私が奥さんなら怒るわーと思っちゃうのは現代人の発想なのかしら。それとも最近読んだ「死の棘」がまだ自分の中から抜けきっていないのかしら(苦笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ○泉鏡花
感想投稿日 : 2016年3月28日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月14日

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