聊斎志異〈下〉 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1997年2月17日発売)
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下巻でも狐と死人(幽霊)の美女のオンパレードだけど、狐だけでなく鹿(麝香の香り)鰐(竜王の娘)蜂(緑衣の人)なども美女になって恩返ししてくれる。あと美女ではないけどスッポンの恩返しとか(笑)牡丹、菊などの美しい花の精も登場。本の中から美女が出てくるとかも夢があっていいな(書中の美女)・・・ってこうやって書き出して見ると、怪異譚というよりむしろ「こんな美女が突然現れて尽くしてくれたらいいな」という男性のドリームのバリエーションのような気がしないでもない。

いちばん怖かったのは「悍婦」のシリーズ。シリーズといっても別の話なんだけど、日本語でイメージタイトルつけるならこれ「実録!恐怖の鬼嫁!」みたいな内容で、とにかく嫁が凶悪で恐ろしい。ちょっと書くのを憚るような恐ろしい暴力を夫、舅姑、妾、夫の兄弟にまでふるい、残虐極まりない。どんな妖怪より鬼嫁がいちばん怖いって・・・(苦笑)こんな鬼嫁と結婚するくらいなら、正体が狐だろうが幽霊だろうが人外だろうが、優しくて美人の嫁を貰ったほうがそりゃマシなわけだ。

編纂者の趣味もあるのかもしれないけれど、同時代の日本(江戸時代)の怪談に出てくる女性の幽霊はだいたい自分を裏切った男性への恨みをはらすために出てくるのに対し、本書に出てくる中国の幽霊は前世の縁ですとか言って男性に尽くしてくれる美女で夜の営みもたいへん積極的、あげく子供も産めたりするので、その差がどこからくるのだろうと考えるのも面白い。

※下巻収録
狐妻の苦心/夜毎の美女/狐の子/酒の精/木彫りの美人/狐の仲人/麝香の香り/竜王の娘/冥土の殺人/緑衣の人/悍婦/二人の幽鬼/悍婦(その二)/すっぽん大王/仙女/月下老人/甄夫人と劉楨/二人の阿繍/玉帝の娘/月宮の人/盗人という戸籍/金持ち狐/愛奴の死/賢妻と狐妻/天上の宮/冥土の冤罪訴訟/底なしの米倉/痣の下の美玉/地中の世界/蘇州の邪神/蘇州の邪神(その二)/黍畑/亭主操縦術/牡丹の姉妹/菊の姉弟/書中の美女/竜宮の恋/漢水の妻/牡丹と耐冬/命拾い/雲の湧く石

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ★アジア・インド・アフリカ
感想投稿日 : 2018年7月11日
読了日 : 2018年7月11日
本棚登録日 : 2018年7月4日

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