なかなか素敵なアンソロジーでした!既読の作品や好きな作家のものもあれば、全く知らない作家のものもあり、巻末に作者紹介もついててとても親切。訳も読み易かった。タイトルにそういう縛りはないものの、幻想的な話や奇譚的な話が多かった気がします。あと少女もの。
好きなのはリラダンの「ヴェラ」や、少女の純粋で一途すぎる狂気が怖いシャルル=ルイ・フィリップの「アリス」、結局なにが起こってたのかモヤモヤするけどなんか怖いジュリヤン・グリーンの「クリスチーヌ」など、女性の名前がついたもの。あとアレーの「親切な恋人」は、ファンタスティックとグロテスクのぎりぎり境界線上で、とても短いのにかなりのインパクト。アポリネールとシュペルヴィエルは既読の作品だったけれど、どちらも好きな短編です。マルグリット・デュラスの「大蛇」は、この少女がのちに「愛人」になっちゃうのかと思うと興味深い。悪夢的な「大佐の写真」、映像が目に浮かぶような「ペルーの鳥」も好きでした。
※収録作品
「ヴェラ」ヴィリエ・ド・リラダン
「幼年時代―『わが友の書』より」アナトール・フランス
「親切な恋人」アルフォンス・アレー
「ある歯科医の話」マルセル・シュオップ
「ある少女の告白」マルセル・プルースト
「アリス」シャルル=ルイ・フィリップ
「オノレ・シュブラックの失踪」ギョーム・アポリネール
「ローズ・ルルダン」ヴァレリー・ラルボー
「バイオリンの声をした娘」ジュール・シュペルヴィエル
「タナトス・パレス・ホテル」アンドレ・モーロワ
「クリスチーヌ」ジュリヤン・グリーン
「結婚相談所」エルヴェ・バザン
「大佐の写真」ウージェーヌ・イヨネスコ
「ペルーの鳥」ロマン・ギャリー
「大蛇」マルグリット・デュラス
「ジャスミンの香り」ミッシェル・デオン
「さまざまな生業(抄)」トニー・デュヴェール
「フラゴナールの婚約者」ロジェ・グルニエ
- 感想投稿日 : 2014年8月15日
- 読了日 : 2014年8月14日
- 本棚登録日 : 2014年8月6日
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