イタリア民話集 上 (岩波文庫 赤 709-1)

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本棚登録 : 107
レビュー : 8
制作 : 河島 英昭 
yamaitsuさん  ★イタリア・ローマ   読み終わった 

上巻は北イタリアの民話。巻末にカルヴィーノ自身の注釈と「民話を求める旅」収録。

「水蛇」がシンデレラ的な要素のある話なのだけれど、意地悪な二人の姉が、妹と王子の結婚を阻止するために妹の目玉をくりぬき両腕を切り落とすというのが残酷すぎて怖い(涙目)まんまと妹になりすました姉は王子と結婚、妊娠、しかし水蛇の助けで主人公は目玉と腕を取り戻し、姉たちは蠍を産んだうえに火あぶりにという報復もまた恐ろしい。

「カナリア王子」はラプンツェル的な、継母に塔に閉じ込められたお姫様の話。「鸚鵡」といい、イタリアでは王子様は鳥に変身しがちなのかしら?(笑)一方で「蟹の王子さま」は蟹の殻の中に閉じ込められた王子様の話で、こちらなかなか波乱万丈、蟹というのも含め斬新。

「まっぷたつの男の子」は母親が妊娠中に魔女のパセリ畑を食い荒らしたために生まれた子供の半分を7歳で魔女に奪われてしまう。カルヴィーノ自身の『まっぷたつの子爵』を思い出すタイトルだけれど、この民話のほうでは家に残った半分が鰻の魔法で立身出世して完全体になり王女と結婚、幸福になるのみで、魔女に奪われた半分のほうがどうなったのかは描かれない。合体できたのならいいけど、そうじゃなかったら可哀想。

「プレッツェモリーナ」も母親が妊娠中に魔女のパセリ畑を食い荒らして子供を魔女に取られるパターンだったけど、イタリアでは妊婦さんはパセリ食べたくなるものなのかしら?(笑)それとも単にそこから派生した物語のバリエーションが豊富なのかな。

「花薄荷の鉢」はスペインの民話にも似た話があったっけ。ふつうに一目惚れでくっつけばいいだけの男女が何故か悪戯から罵り合い攻撃しあい酷い目に合わせあう謎展開。殺されかかったのにハッピーエンドでいいんかい!っていう(笑)

「塩みたいに好き」はリア王などに見られる三人娘の末っ子が一番良い子なのに父王が誤解から彼女を追いだすパターン。「籠のなかの王さま」「地獄に堕ちた女王の館」も三人姉妹末っ子最強説だけれど、とくに「地獄に堕ちた女王の館」のほうは姉二人が妹怖すぎて逆らえなくなってるのがなんか普通じゃあなかった。そもそも女王に彼女たちが協力させられる理由が、理不尽な魔法を解くためとかじゃなくて、自分を捨てた男に復讐したくて死にきれないから協力してってのも斬新だった。

「七頭の竜」「眠れる女王」ともに、三人息子が順番に旅立ち三人目だけが成功するという民話お約束のパターンだけど、どちらも波乱万丈で面白い。「七頭の竜」のほうは、いろんな話が複合している感じで、三つ子のエピソード等に既視感があったので注釈をみたら、映画でしか見ていないけれど『ペンタメローネ(五日物語)』にやはり類似の話がありました。「魔女の首」はわかりやすくギリシャ神話のペルセウス。

※上巻収録
恐いものなしのジョヴァンニン/緑の藻の男/何ごとも金しだい/水蛇/鸚鵡/クリックとクロック/カナリア王子/強情者だよ、ビエッラの人は/花薄荷の鉢/星占いの農夫/聖ジュゼッペの信者/蟹の王子さま/まっぷたつの男の子/満ち足りた男のシャツ/怠けの技/ベッラ・フロンテ/無花果を食べあきなかった王女/傀儡のタバニーノ/塩みたいに好き/七頭の竜/眠れる女王/ミラーノ商人の息子/魔法の宮殿/フィレンツェの男/弾む小人/乳しぼりの女王/カンブリアーノの物語/魔女の首/林檎娘/プレッツェモリーナ/籠のなかの王さま/地獄に堕ちた女王の館/十四郎

レビュー投稿日
2018年3月8日
読了日
2018年3月8日
本棚登録日
2018年3月2日
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