表紙絵怖いしタイトルにホラーって入ってるけどそこは皆川博子なので怪奇よりは幻想的、ゾッとするのは人間の怖さ。最初の「冬薔薇」に「あなたは、わたし?」というセリフがあるのだけれど、全体的にこのセリフに象徴されるテーマの作品が多く収録されていた印象。それは未来(過去)の自分であったりもするし、血縁であったり姉妹であったり親友であったりさまざまだけど「わたし」は二人いるわけにはいかないので、どちらかが消えねばならない。
『たまご猫』にも収録されていた「骨董屋」がやはり怖い。あとループして出口のない「流刑」も怖いなあ。「幻獄」はもともとの掲載誌で提示されたテーマが意味不明なエロ設定だったらしいのだけど、それをこういう形で昇華しちゃう手腕が流石。
作者自身のあとがきを読んで「巫子」が「私小説ではないが七割実話」というのに驚いた。もしかして自動手記で小説書かれてる!?(笑)
※収録作品
「冬薔薇」「夜の声」「骨董屋」「流刑」「山神」「幻獄」「山木蓮」「冥い鏡の中で」「巫子」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
○皆川博子
- 感想投稿日 : 2016年8月2日
- 読了日 : 2016年8月1日
- 本棚登録日 : 2016年8月1日
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