『辺境図書館』の続編。今回も読みたい本満載すぎて、このあとどこから手をつけていいかわからない(笑)辺境~はのっけからドノソで始まったけど、今回はバロ!レメディオス・バロはずいぶん昔に(調べたら1999年だった…)伊勢丹美術館でバロ展を見て以来大好きで、かなりの断捨離をしたこの1年でもバロの図録はどうしても手放せませんでした。だって画集とか日本で出てないんですよ。画集ではなくこの『夢魔のレシピ』が出ていることは知ってたのだけど、欲しいのは画集!と思って読んでいませんでしたが、改めてやっぱり読んでみたくなりました。
あと今回これは是非とも読まねばと思ったのはなんといってもソローキン!『青い脂』だけでもお腹いっぱいだったけど、なんかまだまだすごいもの書いてそう。
『デルフィーヌの友情』という本、読んでないはずなのになぜかあらすじを知っていて「???」となったのだけど、あれでした、映画化されたのを見ていたのでした。ロマン・ポランスキーの『告白小説、その結末』(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B07HQWDYPD)
つい最近のことでも私はこうして忘れがちなのでブクログはほんと備忘録なんですけど、皆川さんの記憶力の良さには脱帽。矢川澄子の章で『唐版 風の又三郎』の歌の歌詞が矢川さんの作詞だとあったのは知らなかったので驚きました。
文中皆川さんが忘れてしまったと書かれていた部分は「ふる里すてて巷に住めば あの子も恋し この子も恋し あの子の胸に この子の胸に~」でした(戯曲引っ張り出して調べた)「一かけ二かけ三かけて 四かけて五かけて色仕掛け 駆け落ちしかけてちょい待った はるか向うを眺むれば 十七八のねえさんが 髪ふり乱して駆けてくる」
本についてとは別に、「ねえや」が現代では差別語になっていることなどに憤られているのは共感。最近自分も、ふつうに使っている言葉がパソコンで変換できず、なにかと思えばどうやら差別語指定だとわかりビックリしたことが何度かあり。皆川さんも憤られているように、そんな言葉狩りで差別自体がなくなるわけでもないし、差別のあった過去自体を隠蔽できるわけもない。その時代の空気を伝えるためには、その言葉がやはり必要な場合がある。文部省のとんちきさについてもお怒りになられており、日本語教育のありかたを問われています。
※収録(★既読)
026『夢魔のレシピ』とレメディオス・バロ
027『深い穴に落ちてしまった』とイバン・レピラ
028『黄色い雨』とフリオ・リャマサーレス★
029『死神とのインタビュー』とハンス・エーリヒ・ノサック★
030『もうひとつの街』とミハル・アイヴァス
031『約束』とイジー・クラトフヴィル
032「マテオ・ファルコーネ」とプロスペル・メリメ 『ファービアン』とエーリヒ・ケストナー
033『安徳天皇漂海記』と宇月原晴明
034『傭兵隊長』『美術愛好家の陳列室』とジョルジュ・ペレック
035「故障」とフリードリヒ・デュレンマット★
036『柾它希家の人々』と根本茂男
037『詞華美術館』と塚本邦雄
038『テルリア』とウラジミール・ソローキン
039「足摺岬」と田宮虎彦
040『The ARRIVAL』とショーン・タン 『2084 世界の終わり』とブアレム・サンサル
041『十四番線上のハレルヤ』と大濱普美子
042『デルフィーヌの友情』とデルフィーヌ・ド・ヴィガン
043「真田風雲録」と福田善之 「スターバト・マーテル」と桐山襲
044「群盲」「モンナ・ヴァンナ」とモーリス・メーテルリンク
045『ある受難の終り』とマリ=クレール・ブレ
046『鮫』と真継伸彦
047『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』と田邊園子
048『架空の庭』『いづくへか』と矢川澄子
049『トラークル全集』とゲオルク・トラークル
050『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』と東雅夫
111「新宿薔薇戦争 清水邦夫『ぼくらが非情の大河をくだる時――新宿薔薇戦争――』を再読しつつ」皆川博子
- 感想投稿日 : 2021年10月22日
- 読了日 : 2021年10月22日
- 本棚登録日 : 2021年10月14日
みんなの感想をみる