天頂より少し下って (小学館文庫 か 11-1)

著者 :
  • 小学館 (2014年7月8日発売)
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本棚登録 : 559
感想 : 52
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久しぶりの川上弘美さん短編集。アンソロで既読のものもあったので、結構寄せ集め的な感じだったのかな。でも全体的にやわらかい、ひらがな多めのトーンで統一されていて、どれもさすが川上弘美な味わい。

お気に入りは「夜のドライブ」。アラフォー独身女性が母親と旅行にいって夜のドライブをする、それだけのなんてことないエピソードなのだけれど、年齢的に共感できる部分が多く、ラストはほろりとしました。たまに実家に帰ると、ふいに母が老いていることに気づいて「はっ」とすることとかあるんですよね。かつては自分を庇護してくれた存在に、今は頼られるようになっている、そういう立場の変化や気持ちの変化が、不安になることもあるし、切なくなることもある。

逆にイマイチだったのは表題作。こちらも40代女性が主人公ですがバツイチ、同居している息子はすでに成人、自分には11歳年下の恋人がいるという設定と、ひたすら恋愛モードな彼女の言動に、単に共感できるポイントをみつけだせませんでした。

※収録作品
「一実ちゃんのこと」「ユモレスク」「金と銀」「エイコちゃんのしっぽ」「壁を登る」「夜のドライブ」「天頂より少し下って」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ○川上弘美
感想投稿日 : 2014年7月11日
読了日 : 2014年7月10日
本棚登録日 : 2014年7月9日

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