不連続殺人事件 (新潮文庫)

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本棚登録 : 259
レビュー : 23
著者 :
yamaitsuさん  >さ行   読み終わった 

角川からも文庫が出ていたけれど去年新潮文庫から出た新しいほうを。こちら昭和22年からの連載当時に、安吾自身が真犯人を当てた読者に懸賞金を出すという豪華企画があったそうで、太っ腹だなあ。連載当時の「読者への挑戦状」も各話ごとに収録されている。楽しそう。

それにしても登場人物がとにかく多い。しかも人間関係が複雑で、情報量の多さをどう処理するかが読者としては大変。できるだけ一気読みしないと、誰が誰のなんだったか関係をすぐ忘れてしまう(それは私がおばちゃんだから)

語り手は作家の矢代。探偵役は、矢代の弟子である巨勢博士。矢代は友人で詩人の歌川一馬の邸宅に招待され妻の京子と訪問するが、この京子は、一馬の父親で大金持ちの歌川多門の元・愛人。一馬の現在の妻・あやかは、画家の土居光一の元妻、一馬の妹・珠緒は奔放で、嫌われ者で下品な作家の望月王仁ともデキている。一馬の元妻で女流作家の宇津木秋子は現在は作家の三宅木兵衛と再婚。

さらに屋敷には、歌川多門の妹夫妻とその娘でブサイクな千草、多門が使用人に手をつけて産ませた美貌の娘・加代子も同居、この加代子は腹違いの兄・一馬に恋している。さらに屋敷には弁護士の神山夫妻、お抱え医者の海老塚、愛想のない看護婦・諸井琴路らがが我が物顔で出入り、料理人や使用人も数人。そこへ一馬らの友人である他の作家や女優やら大勢がやってきて、三十数人が集まったところで殺人事件勃発。

登場人物を覚えるだけでせいいっぱいだった私は誰が犯人かはほとんどわからなかった。というか、犯人と動機の目星はついても、実行手順について整理して説明するのはちょっと面倒という感じ。しかし読者に謎解き懸賞をかけてるだけあって、ちゃんと書かれている内容から推理すれば正解にたどりつけるようになっているので、突然読者の知らない登場人物や情報が後だしで出てくるようなことがなく、とても良心的。おかげで自分で犯人を当てるまでの熱意はなくともゲーム感覚で楽しめて気持ち良く読み終えられました。

余談ですが1977年に映画化されたとき、土居光一は内田裕也だったんですね。妙な説得力。見てみたい。

※収録
不連続殺人事件/アンゴウ/対談:戸川安宣・北村薫

レビュー投稿日
2019年4月8日
読了日
2019年4月7日
本棚登録日
2019年4月3日
4
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『不連続殺人事件 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

淳水堂さん (2019年4月8日)

こんばんは!
こら昔読みましたが、無茶苦茶で面白かったですよね。
登場人物たちがワケアリ過ぎて、殺人が事件におもえないくらいというか(笑)

yamaitsuさん (2019年4月9日)

淳水堂さん、こんにちは(^^)
そうなんですよね、登場人物の多さと、そのキャラの濃さ、関係性の複雑さに気を取られて、事件が頭に入って来ないという…^_^;

犯人分かってしまえば、いたってシンプルな事件なのに…

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