恋人たちの森 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1975年5月2日発売)
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本棚登録 : 1445
感想 : 123
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「恋人たちの森」「枯葉の寝床」「日曜日に僕はいかない」は同性愛もの。パターンとしてはどれも同じで、30代壮年の苦みばしった美丈夫(おもに知的な職業)が、10代後半の魔性の美少年の虜になって身の破滅系。さながらオーギュとジルベールの雛形ですが、もちろん森茉莉のほうが竹宮恵子よりも年代的には先。むしろ竹宮恵子に森茉莉を読んでいたかどうか聞いてみたいですね。

唯一同性愛ものではない「ボッチチェリの扉」は、書かれた時期が一番早いせいか、完成度としてはイマイチな印象。ディティールで読ませてしまうけど、全体としてはバランスが悪い。いずれにせよ森茉莉という作家の巧さは全体より細部だとは思いますが。付け焼刃でない耽美趣味は、本物のお嬢様育ちで西洋かぶれの父鴎外を持つ彼女にしか書けない洗練を感じます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  >ま行
感想投稿日 : 2013年3月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月14日

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