薔薇の渇き (新潮文庫)

  • 新潮社
3.53
  • (2)
  • (4)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 10
3

映画『ハンガー』を久しぶりに見て、原作があったことを知ったので読んでみました。映画だけだとわからなかったミリアムの来歴などにも原作にはちゃんと説明があったのでスッキリ。反面、どうでもいい描写がやたらと詳細でそのエピソードいる?という部分も多く、冗漫でエンタメ作品としてはあまり面白くは読めなかった。映画のほうがすっきりしてて良い。

おおまかなあらすじは映画と同じ。女吸血鬼ミリアムの伴侶であったジョンに急激な老化が始まり、ミリアムは老化を専門的に研究しているサラ・ロバーツ博士に接近、利用するつもりだったがサラに惹かれ、彼女を強引に仲間にし…。

映画でもそうだったが、本書でも吸血鬼とかヴァンパイアという言葉は直接的には出てこない。ミリアムは古代エジプトの時代から生きている、人間とは異なる種族。人間の血を啜ることで不老不死を保ち、同胞同志で子孫を残すこともできるが、人間ほど簡単に妊娠出産できないらしい。ミリアムにも両親、弟や妹がいたが、天災で死んだり人間に殺されたりしているようなので、不死というのは老化では死なないというだけで、なんらかの物理的な傷を負えば一応死ぬこともあるようだ。

人間を仲間にすることは「転換」と呼ばれ、もとからの同族・同胞とは別もの。自分の血を相手に輸血することで、人間を転換させ仲間にすることが可能。ただ、転換させられた人間は、やがてジョンのように急激に老化してしまう。原因は不明。個人差があり、ミリアムの古代ギリシャ時代の伴侶エウメネスは500年一緒にいられたし、その後のローリアとは1000年一緒にいた。ローリアは中世の魔女狩りで拷問されて半死半生に。ちなみにミリアムは男女どっちもいけるくちなので、伴侶は男女交互に選んでいる。

ジョンとはまだ180年ほどしか一緒にいないのに、老化が始まってしまいミリアムは動揺。しかし周到な彼女は、次の伴侶として近所にすむアリスという少女に目をつけている。ところが老化が始まったジョンは凶暴化、アリスを餌食にしてしまう。原作のジョンは映画よりも執念深く、自分を捨てようとしているミリアムへの復讐の機会を虎視眈々と狙っている(もちろん悉く失敗)。ミリアムは大勢の歴代伴侶(まだ死に切れてない)を棺桶に入れて保管、ジョンもやがてはそれに加わる。

原作のミリアムは、サラに接近するため、あえてサラの研究所を訪れて、血液などを採取させ研究材料にさせるという危険を冒す。サラと恋人のトム、他の医師たちも、彼女が人間ではないことを知ってしまう(このへん不用意すぎてどうか)。吸血鬼の原理を科学的に分析する試みは面白いと思うけれど、最終的になんの役にも立たなかったので、この研究所の人間関係の描写とかサラとトムの会話とかくどすぎてちょっとイライラしちゃった。

ミリアムはサラを眠らせて自分の血を輸血、簡単に彼女を仲間にできると思っていたが、理系のサラの心は思うように操ることができない。しかしついに吸血鬼としての飢餓が始まり、サラはミリアムの策略で恋人トムを餌食にしてしまう。後悔した彼女は自殺を図り…というところまでは映画と一緒。

映画はこのあと、ミリアムの歴代パートナーの復讐によりミリアムが斃れ、サラが生き残って立場が逆転したが、原作は自殺しようとして死にきれなかったサラをミリアムは棺桶に入れ、また新たな伴侶を求めて旅立ちエンド。どうやら続編があるらしいけど、続きを読みたいと思うほどには面白くもなかったし、キャラクターにも魅力を感じなかったので、とりあえずこれ1冊でもういいや。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ★アメリカ 他
感想投稿日 : 2021年8月11日
読了日 : 2021年8月10日
本棚登録日 : 2021年8月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする