43歳シングル女子、まさかの転機に直面す・・・という帯の文句を見て同じアラフォーシングル女子としてなんとなく他人事とは思えず(苦笑)手に取りました。まあアラフォーにもなって女子とか名乗るのもおこがましいけれど、自分が十代のころ思い描いていたほど、30代も40代もいざそうなってみれば全然大人じゃなかったりして、本来なら酸いも甘いも噛み分けた大人のいい女になっていてもよさそうなものの、案外精神年齢というのは加齢に伴って逆に退行してるような気すらして、しっかりしているようで相当天然で適度に自己中な主人公・茜さんはリアリティのあるキャラクターではありました。
会社で肩叩きに合い退職、ちょうど亡くなった父から相続したアパート花桃館の管理人として住み込むことにした茜さんと、実は父の恋人だったお婆さん、整形依存の女性、ゆとり世代のウクレレ青年、子沢山の父子家庭、クロアチア人の詩人、猫好きシスコン探偵などなど、奇人変人揃いのアパートの住人たちとの交流、そして茜さんの同級生でバーテンダーの尾木くんとの関係などが、ちょいちょい吹き出す笑いもまじえて描かれています。
どの住人も面白いですが、お気に入りはしっかりものの中学生男子・陸くんでした。根っからの長男気質で家族の世話にあけくれるけなげさはいっそ泣けてきます。幽霊夫婦のエピソードも好きだったけど、あんまりそっち側(やたらと霊が出てくる)に全体のストーリーを引っ張りすぎるのはちょっと微妙かなと思いました。
しかし「行き遅れ」だの「行かず後家」だの言われ続ける茜さんのアラフォーあるある的小ネタエピソードは実感をもって共感できました(笑)。「花はついても実はならない」のが花桃、その花もすっかり咲き終わったあとどう生きればいいのか、身につまされつつも深刻になりすぎないところも良かった。
- 感想投稿日 : 2014年7月3日
- 読了日 : 2014年7月2日
- 本棚登録日 : 2014年6月30日
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