
とりあえずエンタメ作品としては最後まで飽きずに面白く読めました。が、正直この手の「続編」をうたった作品が「本家」を超えることはほぼないと思うので、これもその程度の印象ではありました。本家は英国のゴシックホラー色が強かったけど、これはなんかこう、アメリカンエンターテイメント(笑)というか、ハリウッド的ですよねえ。バートリがドラゴンに変身して地下鉄まで追っかけてくるとか、映像化したら楽しそうだけど、ちょっと微妙な気持ちになりました(苦笑)。
登場人物としてのブラム・ストーカーのわりと酷い扱いだったり、前作のキャラをことごとく不幸にし、本筋と関係ない部分であっさり殺してしまう愛情のなさだったり、本家の愛読者にとってはちょっと「やりすぎ」感もあり。なんていうか、子孫が関わっているからというだけで正式な「続編」と捉えるむきもあるかもしれませんが、「ヴァン・ヘルシング」の名前が吸血鬼ハンターとしてコミックや映画の世界で一人歩きしてるように、これも数多あるドラキュラ派生作品の、比較的本家設定に忠実な一つに過ぎないという印象。個人的には「二次創作」と割り切って楽しみました。
最後の最後でタイタニックまで持ち出してきたり、結局ヴラド・ツェペシュとその弟ラドゥの件は曖昧にぼやかしたままで明かされなかったので、まだこれの続編もありそうな感じです。どうでもいい気もするけど、結局また読んでそう(笑)。
- レビュー投稿日
- 2013年2月11日
- 読了日
- 2013年2月8日
- 本棚登録日
- 2013年1月29日
『新ドラキュラ(下) (文庫ダ・ヴィンチ)』のレビューへのコメント
コメントをする場合は、ログインしてください。