美女と野獣 MovieNEX(実写版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

監督 : ビル・コンドン 
出演 : エマ・ワトソン  ダン・スティーヴンス  ルーク・エヴァンス  ジョシュ・ギャッド  ケヴィン・クライン 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
3.80
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本棚登録 : 781
感想 : 148
3

BEAUTY AND THE BEAST
2017年 アメリカ 130分
監督:ビル・コンドン
出演:エマ・ワトソン/ダン・スティーヴンス/ルーク・エヴァンス/ユアン・マクレガー/イアン・マッケラン/エマ・トンプソン
http://www.disney.co.jp/movie/beautyandbeast.html

良くも悪くもディズニーらしい映画だなあという印象。アニメ版に思い入れはなく、古いコクトー版と2014年のフランス版(レア・セドゥとヴァンサン・カッセル)は観たけれどコクトーのほうはもう20年くらい前のことなので正直うろ覚え。

良くも悪くも、の良いほうは、美術的な豪華さ。とくにお城の中の調度品にされてしまった使用人たちのキャラクターやコミカルな動き、彼らが活躍するシーンの楽しさはディズニー映画ならでは。素直に童心にかえってワクワクできました。

悪くも、のほうは、やっぱり設定の安易さというか適当さ、脚本の詰めの甘さ。突然魔女が現れて王子を野獣に変えてしまう根拠があまりにも薄いし、彼がいったい野獣にされてから何年経ったのかなどの基本設定が適当。おおまかなあらすじは誰もが知っているけれど、イメージ的にはとても長い年月、大袈裟だけれど100年単位で孤独に生きてきたがゆえの、やっと待ち望んだ相手に出逢えた!っていうハッピーエンドのカタルシスだと思っていたので、終盤でお城の使用人たちが家族と再会するあたりで「ちょっと待って生きて再会できる程度の年月なの?せいぜい数年、長くても10年くらい?」と拍子抜け。

あとベルのお父さんが「娘が野獣のお城に監禁されている」と訴えたとき、村の誰もが信じなかったのに、ベルが戻ってきて鏡を見せただけで急激に「野獣を殺せ!」になるのもご都合主義すぎたし、そもそもこの時点ではお城の使用人たちの家族が村人の中にいると観客は知らないのだけれど、前述したように生きて再会できる程度の年数しか経っていないのであれば、村人の中には「かつてお城があったこと」「いつのまにかそのお城に行けなくなったこと」「そこで働いていた家族が戻ってこなかったこと」つまり「お城で何か異変が起こった」などは周知の事実でないとおかしいわけで、だとしたらベルの父の訴えを村人は信じるべきだし、村人たちが野獣をやっつけに行こうと思うとしたらその理由は「お城から戻ってこない家族を取り戻すため」であるほうが妥当じゃなかろうか。

もうひとつ致命的にダメだと思ったのは、世界旅行ができる魔法の本というよくわからんアイテム。なぜ魔女がそれを置いていったのかの理由もこじつけぽかったし、ベルがパリに行く、そこで母親がペストで死んだことを知る、その意味もあまりなかった。たとえばベルが母親の死について不審をいだき、何か隠している父と不仲に・・・等の伏線があれば、真相はこうだった!と知ることで父とのわだかまりが解けるなどの意味があるけれど、ベルと父、めっちゃ仲良しだし、母親のエピソード必要?野獣の過去「もとは優しかったのにお母さんが亡くなってからお父さんが育てたら性格歪んだ」っていうのも意味わからなかったし、単に野獣もベルもお母さんを早くに亡くして寂しかったよね共通点!だけならあまりにも薄すぎる。さらにこの本の弊害は「どこの国のいつの時代ともしれないおとぎ話」としてなら成立した世界観に、パリ、という具体的な生活感を感じさせる都市名やペストの存在で時代や場所を特定してしまったこと。それなのにお城があり王子がおり、しかもその宮廷の使用人の半分は黒人というハリウッド的忖度。

そしてこれだけフランスを強調しておきながら、メインキャストの大半がイギリス人俳優。とくにイアン・マッケランやエマ・トンプソンなどはイギリスを代表する名優。野獣はアーサー王を読み、ベルはシェイクスピアを読む。なんでや。ならばフランスだのパリだの強調しないで「むかしむかしあるところに」にしとけばよいのに。

エマ・ワトソンは可愛かった。グリムやボーモン夫人など古い形での伝承だと3人の娘と3人の息子、末娘だけが父に優しいなど古い物語の定型が残されていたけれど、ベルが一人娘というのは現代的。そして村でいちばんの美女、とかではなく変わり者扱いされている等の設定も現代的な改変だなあと感じた(これは別に悪くはないけれど)。あとベルが父親を助けにお城をいったん去るとき「一週間の期限」を設けずに完全に「自由」にしたのも現代的というかアメリカ的だなと。

野獣は、フランス版の「人間に戻っても野獣みたいなもんやないか!」というヴァンサン・カッセルに比べたら普通に人間のときは王子様でしたが、端正すぎてインパクトがなく野獣のときのほうがカッコイイと思ってしまった(笑)顔だけならガストンのほうがタイプだけれど、彼もなんだか薄っぺらい悪役で可哀想。服装は軍人ぽかったけど、そもそもどこの軍隊よ?という設定の甘さもあるし、序盤の酒場での彼の歌とか必要なかった気がする。そんな時間があるなら、ベルが野獣に惹かれていく具体的なエピソードをもっと増やせば説得力でたのに。

なんか文句ばかり書いてしまいましたが、全体的にはやはり子供でも飽きないような展開にしてあるし、映像クオリティは高いので、それなりの出来、それなりに楽しく見れたので別に悪い作品ではないです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  アメリカ映画 他
感想投稿日 : 2017年12月21日
読了日 : 2017年12月20日
本棚登録日 : 2017年12月21日

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