夜間飛行 (新潮文庫)

3.61
  • (224)
  • (271)
  • (501)
  • (48)
  • (15)
本棚登録 : 3492
レビュー : 283
制作 : 堀口 大學 
うっちさん 文学   読み終わった 

飛行機は好き?
ナイトフライトは好き?
私は大好きです。飛行機も。ナイトフライトも。
でも、ナイトフライトは、著者がこの本を書いたころは、冒険的大事業だったんですね。

「せっかく汽車や汽船に対して、昼間勝ち優った速度を、夜の間に失うということは実に航空会社にとっては死活の大問題だ。」

まだ空輸が黎明期であったころ、先駆けて夜間飛行の冒険的事業に挑む支配人の物語。
黎明期の事業というのは、危険を伴う冒険的、英雄的時期がある。
本作が書かれたのが航空機の発展途上である20世紀初頭のころで、挑戦する事業が航空機の夜間運用であるなら、まさに命の損失を伴う事業。

物語の主人公である航空会社支配人のリヴィエールは、パイロットではない。南米に拠点を構え、地上で勤務するマネージャー。
部下パイロットと機器を運用し、地上で空の情報を待ち、地上から支持を与える立場である。
したがって、パイロットのように、夜間、アンデスに肉薄し、突風に揉まれ、雷雨にさらされる直接の危険はない。
操縦かんを握り、荒天の夜間飛行に挑むパイロットは、誰の援助も受けられない、不安と恐怖、孤独に立ち向かう戦闘者である。 
そしてまた、直接の危険はないにせよ、支配人もまた、彼らの命を預かり、ときに怜悧に命令を発し、部下の安否を憂い、孤独と戦わねばならない。
サンテグジュペリの詩的な表現が、孤独に耐えるリヴィエールの精神を美しく描写する。

重責を負い、孤独に耐え、生傷を負い、それでも前に進む意思を持つことと、意思の形成過程が美しく、悲しく、力強い。

レビュー投稿日
2019年2月17日
読了日
2019年2月17日
本棚登録日
2019年2月17日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『夜間飛行 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『夜間飛行 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする