改訂新版 ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ)

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本棚登録 : 78
レビュー : 6
著者 :
yamayomuさん  未設定  読み終わった 

ロボットがこれからの人間社会にどんなインパクトを与えるのか。救世主になるのか奴隷の主人になるのか。何ができて何ができないのか、その現在地と近い将来の到達点は。それを漠然と浅い知識やつまみ食いした成功事例から語るのではなく、大学入試問題を解くという枠組みから考察する。

新井さんのいいところ、それは根源的なところから出発するところ。本書も「計算とは何か」「わかるとは何か」について考え直すよう促してくる。

チューリングの計算の定義。
(1)有限の知識
(2)特定の条件の下における特定の手続き
(3)同様に繰り返す
この(3)の重要性に最初に気がついたのはパスカル。
理性(推理reason)とは(1)(2)(3)であると主張したホッブス。
理性(言語、それを使う知性)は人間にしかないと主張したデカルト。
チェスや将棋で人間より強いこと。クイズで人間より強いこと。一定の不自然さはあるものの翻訳できること。それは知性なのか。
著者の答えは「統計的にあたりっぽい答えを返しているだけで、理解して答えているわけではない。」

これは新井さんがコンピュータの専門家ではなく数学者であることと関わっているのかもしれない。

本書で示される取り組みは大雑把に言えばAI=機械学習なので、「(理解してはいないが)大量の学習データから導き出したパターンと統計的に近いものが正解だ」というアプローチで得点を高めていく。
その道のりは読んでいて涙というか、脳に汗をかく感じ。そもそも人間はなんて曖昧な指示で理解していることか。問題文が何を求めているのか、膨大な書かれていない前提がないと理解できない、という地点からスタートする。
そして、結構いい得点が取れるようになったところで新井さんは気づく。「これほどまでに何も理解していないコンピュータがこれほどまでに高い偏差値をとるということは、いかに多くの人間がコンピュータ以下の理解しかできていないのか」に。
この結末は事前に別のテキストで読んでいて知っていたのだけれど、途中の苦労を読んでいると新井さんの絶望が一層際立つ。

レビュー投稿日
2018年9月14日
読了日
2018年9月13日
本棚登録日
2018年9月13日
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