読み手の湖面はさざ波? 鏡面? それとも荒波? 第一部、第二部、第三部でまったくちがう顔を見せる。それぞれ単独で読めばいい物語だけど、三部合わせて一つの「みずうみ」を構成しているようには思えず、満足感よりは違和感が残る。私の場合はさざ波でした。
第一部は森の中の不思議な湖と村人
の話し。第二部は、その村の出身と思わしきタクシー運転手の話し。第三部はいしい夫妻と米国人の友人の話し。
著者のインタビュー
http://book.asahi.com/clip/TKY200704040218.html
を読むと、ボンヤリしていたテーマ(の一つ)がハッキリ見えてくる。モノゴトが、ある出来事から別の出来事へと連鎖していくありようには、原因と結果や偶然だけではないつながりもある、ということ。
確かにその通りなんだけど、あまりに個人の思いや努力の入る余地が少ないように読めた。

2011年5月3日

読書状況 読み終わった [2011年5月3日]

職業人のショートストーリー。○○屋の○○さんにまつわる物語。
短いことばがスっと胸に飛びこんできてサっとハートをなでてゆく。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]
カテゴリ I like it!

至上主義という言葉にふさわしいコダワリ/思い入れ/愛が伝わってこない。
私のダメ文章リトマス紙である「と思うのは私だけでしょうか」などNG表現も多く読むに耐えない。
...と思うのは私だけでしょうか。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]

現代思想による映画分析、ではなくて、映画による現代思想解説。ヒッチコックによるラカン。
私、映画にそれほど興味がないのですが、それでも十分楽しめました。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]

内田作品としてはどこか硬い。
おそらく編集による部分と立ち位置による部分があって、「街場」からの大学論になっておらず読みにくい。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]

『日本辺境論』の前奏曲。
間違って目のウロコ取り器を買ってしまったのかと思った。ボロボロ。
例えば、日本のアニメヒーローがみな「純粋な心を持った少年にしか操縦できない巨大ロボットで悪を討つ」という枠組みになっている、という指摘。
鉄人28号やガンダムが象徴しているものとは。アメコミヒーローと対比することで浮かび上がる日米の歴史や歴史観の新たな側面に興奮の連続。
他にも、ファストフード、政治、戦争、児童、連続殺人、身体観、宗教など盛りだくさん。

2011年6月8日

読書状況 読み終わった [2011年6月8日]
カテゴリ I like it!

題名がそのまま粗筋。その切なさと悲しさを書かせたら右に出る人はいない。ここに描かれているのは、皮一枚で隠されている私の欲望。Beauty is but skin deep.

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]
カテゴリ I like it!

ジョークを解説してもらって「なるほど面白いや」と感じる気まずさ。
ジョークを落語に置き換えるとこの作品になります。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]
カテゴリ I don't care.

再読。前回より、直接書かれていないけど作品全体として描かれていることが見えて、読書体験として楽しめた。
ただし、やはり同じ路線の他の伊坂作品(例えば『モダンタイムズ』)の方が刺さるし、初読時にも感じたが、カリスマ政治家に惹きつけられていく怖さという点では村上龍の『愛と幻想のファシズム』に譲る。
もちろん、伊坂幸太郎の魅力はそんなところにはなくて、小市民的状況と大状況の不幸な混濁を、悲劇のテンプレートで喜劇を演じるようなところにあって、それはこの作品でも遺憾なく発揮されているんだけど、それでもやはり、すっきり面白くないのです。
やはり、何か読み落としているんだろうか。

2012年9月14日

読書状況 読み終わった [2012年9月14日]
カテゴリ I like it!

ウィットに富んだ短編集だけど、いかにも翻訳調の悲喜劇で楽しめない。
静かな感動を丁寧に重ねていく長編がカズオイシグロの本領と思う。
中島京子の解説は素晴らしいけど、本編がしっくりこない。

2011年4月30日

読書状況 読み終わった [2011年4月30日]
カテゴリ I don't care.

独立して事業主になれば、税制上は貧乏な事実上の金持ちになれる。なるべきだ、目指せ、という。
ベンチャー企業に入ったチャレンジャーのつもりだったのに、いつのまにか既得権益防衛*群*のメンバーになっていたことに気がついた。
何から何を守ろうとしているのだろう。

2011年6月10日

読書状況 読み終わった [2011年6月10日]
カテゴリ I don't care.

丁寧な取材、バランスのとれた観点、目配りのきいた範囲。ルポ新書のお手本。
熱くまくし立てるのでもなく、冷たく笑うのでもなく、人肌くらいの温かさで語る。
同じ著者による『日本の森はなぜ危機なのか』にも同じ感想を持ったので、これが田中氏の実力。

2011年11月8日

読書状況 読み終わった [2011年11月8日]

少々スノビッシュかつキザではあるけれど、異国情緒と、それを時間軸方向に敷衍したロマンチックな旅行記(小説)。
大学の授業で「南の島のティオ」を植民地的な観点でステレオタイプ的な描き方だと教わった記憶があるけど、本書を読む限り自覚的だと思われる。
大英博物館、というか、その主人である大英帝国の植民地に対する収奪の歴史が、世界史自体がそれの繰り返しといった諦念とともに書かれていて、悪くないという印象でした。

読書状況 積読

いやはや、玉村豊男ときたら。
料理の原理は簡単だ、火/水/油/空気の四つだけ、と言う。アルジェリアの砂漠で鍋ひとつで作る料理と、三ツ星レストランの厨房で丁寧に作られる料理が同じだ、と分析してみせるその筆力、説得力。
見る目がある。原理と適用、理屈と実際、抽象と具体、基礎と応用、根幹と枝葉。その両方を自由自在に行き来して、知っていたハズの事柄の知らなかった一面を見せてくれる。鮮やかに。
書く力がある。そんな風に言われたらトロける、、、言葉の愛撫を受けている気がしてくる。
"煮るというのは、要するに肉を、汁なしではなく、なんらかの容器に汁とともに入れてその汁の中で火の営みを授かる方法である。(p.42-43)"
"彼は料理という途方もなく奥深い宮殿の門前に立っていた(p.125)"
"一億五〇〇〇万キロメートル離れた天火(p.126)" (太陽による天日干しのこと)
念のため。本人も書いているが、原理が簡単なことは料理(調理という作業)が簡単ということではない。でも、そそられる。基本を押さえれば、後の応用は貴方次第なのだ、と著者はささやく。ゴクリ。

2011年11月24日

読書状況 読み終わった [2011年11月24日]
カテゴリ I like it!

費用対効果を数値化できるものは節約すべき、そうでないものはケチってはいけない、という主張に頷くことしきり。

2011年5月8日

読書状況 読み終わった [2011年5月8日]

乙女心とは何かについて。ヨソから見たら喜劇あるいは悲劇でも、本人が存在=プライドをかけて貫き通せば美劇になる。

2011年5月8日

読書状況 読み終わった [2011年5月8日]
カテゴリ I like it!

題名の面白さに裏切られた思い。前著『海馬』の面白さの何割かは糸井重里由来だったということか。
あわてて付け加えると、本書は普通に面白く、『海馬』が面白すぎるレベル。

2011年5月18日

読書状況 読み終わった [2011年5月18日]
カテゴリ I don't care.

面白い。ただし感心はしない。
そんな感じ。
「面白ければOK」と思える作品でもなかった。
指折り数えてみると、本書がヒットした理由は見つかるのにわたしが好きになれない理由は見つからない。ウンウン違和感のもとを探ってみた。

まず、面白いのは間違いない。作品舞台もストーリーも登場人物も会話も伏線も、どれも面白い。
ところが、その面白味に広がりがないとでもいおうか、余韻が残らない。後味がない。
おそらく、その原因は、異界なる存在に対する畏敬の念のなさ。
わたしは人と人とならざる存在の交流譚は大好きなのに、本書は好きになれなかった。
例えば梨木香歩や酒見賢一の書く神や鬼の話しには、「存在するのとは別のしかたで」そこにいる霊的存在への節度ある態度、本来交わってはいけないものが関わりを持ってしまった緊張感、それでも惹かれ追い求めてしまう渇望感、そういうものを感じる。そしてそれが作品になんともいえない奥行きや陰影を与えているように思う。
「いやいや、エンタメ作品に何をごちゃごちゃいってるんだ、素直に楽しめ」といわれれば確かに無粋な考察だとは思う。
もし本作が単なる薄っぺらい読み捨てる類の小説なら、わたしもここまで因縁をつけるようなことはしない。でも、本作の技巧の凝らしかた、綿密な構成、気の利いた言い回し、そういう方面のレベルの高さからすると、どうしても納得がいかないのだ。
大ナマズ、鹿島大明神、卑弥呼、鹿、狐、鼠、道具だてはいい。なのに、お話しを面白おかしくするためだけに神様を呼び出している感じ、止むに止まれぬ事情なんてないけどそれが何か?という感じが、どうしても好きになれなかった。

2013年3月19日

読書状況 読み終わった [2013年3月19日]

上橋菜穂子らしい、丁寧で誠実な民族誌。彼女の小説が、例えファンタジーであってもリアルな理由がわかる。人を見る目が暖かく鋭い。陳列棚や画面の向こう側ではなく、こちら側として描かれている。

2011年5月12日

読書状況 読み終わった [2011年5月12日]
カテゴリ I like it!

長くなってしまったのでブログに書きました。
[書評] 豊﨑 由美 / 『ニッポンの書評』: bookmarks=本の栞
http://bookmark.tea-nifty.com/books/2011/05/bookreview.html

2011年5月28日

読書状況 読み終わった [2011年5月28日]

家族という孤独。角田光代らしい、曇り空に希望の薄日が射す読後感が心地よい。
優しかった母は誘拐犯で父の元不倫相手。本当の家族の元に帰ってからの居場所のなさ。当てつけのように繰り返される悲劇。
それでも、なお、失われなかった小さな微かな希望。
抑えた筆致の静かなクライマックスが美しい。

(珍しく映画も見てみたいと思わされました。)

2011年6月7日

読書状況 読み終わった [2011年6月7日]

内容が薄いとは言わないが軽い。ソツなくまとまっているけど上滑りで通り一遍で借り物の文章。響かない。
著者が資格コレクターと知って妙に納得。なぜか、その手の人にありがちな文体という印象がある。
でも、こういう考察になるほど!と思ったので星ひとつプラス:
田舎暮らしは、のんびり優雅なものとは限らない。田舎でも生きるためにはあくせく働く必要がある。でも、時間の使い方が違う。他人のためではなく家族のためだし、時間に流されるのではなく時間を刻んでいる。

2011年6月9日

読書状況 読み終わった [2011年6月9日]

タイトルに偽りあり。著者がひっぱたきたいと願っているのは丸山眞男ではない。戦争も望んでいない。
「上の世代は何も努力せず安定した社会的経済的地位を手に入れた」「なぜ私の世代がその甘い汁を吸えないのか」
本書の主張はこれにつきる。
もう少し丁寧に補うと「なぜ私の世代は努力しないと、あるいは努力しても、その甘い汁を吸えないのだ、不公平ではないか」というもの。
こういう若者がいるのだ、と声をあげたこと自体には意義があるが、主張の内容には意義を見出せなかった。嫉妬ねたみひがみが並んでいるだけなのだから。
著者は「エリート層は関係ない」「自分よりちょっと上の安定正社員層を憎む」という。見事に分断統治の手法にはめられている。
三分の理はあるが、抗議する相手を間違っている。
それに加えて気になったのが、抗議の相手が階層だったり地位だったり集団だったりすること。特定の個人や存在ではなくてカテゴリーやジャンルに抗議しているので、顔を持った個人から返事がないのは当たり前。
『論座』に論文が載ったのに反論と噛み合ないのも当然。
残念な著作でした。

2011年6月19日

読書状況 読み終わった [2011年6月19日]
カテゴリ I don't care.

テンポのよいストーリーと、しっとりほのぼのさせる情景描写のマリアージュ。
若き落語家がひょんなことから話し方教室を持つことになり、落語のようなドタバタを繰り広げる。
話し方とはプライドに他ならない。自己評価の低い人がうまく話せるわけがない。噺違いで大変なことになっちゃった。
青春、冒険、失敗、恋愛、いじめ、仕事、演技、季節。
あゝ人生は美しい。美しくないけど美しい。
前半は少々ドタバタするだけでイマイチ、と思ったけど、後半はぐぐっと面白くなるので一気に読まれよ。

2011年7月1日

読書状況 読み終わった [2011年7月1日]
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