新世界より(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年1月14日発売)
4.24
  • (1965)
  • (1420)
  • (624)
  • (130)
  • (23)
本棚登録 : 12507
感想 : 1053
5

主要キャラが中巻で一気に三人いなくなり、下巻は怒涛の伏線回収かな?!と思っていたら、まだ全然そんな段階じゃなかった……。
神栖66町に突如悪鬼が現れ、読んでるこっちの精神をえぐる大量虐殺が勃発。
いや、本当辛かったわ、この残酷描写……。
上巻でミノシロモドキが血塗られた歴史の説明してるの読んでるときには、「厨二っぽーい」とか思って平気だったけど、やっぱ、キャラの目線で見るときっついね。

物語の終盤、奇狼丸がお気に入りになっていた私は、大事な友達の忘れ形見を殺すために、奇狼丸を犠牲にし、しかもその後愧死機構発動した時に「私は何もしてない」連呼する主人公が、何かすげー浅ましいな、と感じてしまった……。
その後、バケネズミが元々は呪力を持たない人間であったことが明らかになり、さらなる嫌悪感がどーんと。
今まで人間同士の大量虐殺見てきたんかい。
それ読んでワクワクドキドキしてたんだから、最悪だよねーーーさいあくーーー。

呪力を持つものが持たざる者を支配するために、外見まで醜く変えて殺しても気に留めないようにして、真実を隠し続けてきたなんて、たいそう驕った選民思想ですよね。
これまで読んできた中でいっちばん醜悪な社会の形だな、と思ったよ。

早季がラストに書き添えた一文、プラスにもマイナスにも進める一言だよねえ。
人はこんなにも愚かだけど、どうかプラスの方に進みますように、と思わずにいられない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年4月25日
読了日 : 2015年4月24日
本棚登録日 : 2015年4月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする